広島医療生協広島共立病院(広島市安佐南区)の大谷裕一郎氏

 広島医療生協広島共立病院(広島市安佐南区)の大谷裕一郎氏らは、2型糖尿病患者を対象に、超速効型画分と中間型画分1対1のインスリン混合製剤の変更について検討、変更後6カ月間の血糖コントロールには大きな違いがなかったと、5月16〜18日まで熊本で開催された日本糖尿病学会(JDS2013)で報告した。

 インスリン療法を受けている患者は、災害などによってそれまで安定的に使用していたインスリン製剤の切り替えが必要となることもある。このような事態に対応するためには、同種のインスリンの融通性について確認しておくことが欠かせない。

 そこで大谷氏らは、それまで患者が使用していたインスリンリスプロ混合製剤50(以下、リスプロミックス50)を、インスリンの追加分泌に相当する超速効型の成分と基礎分泌に相当する中間型の成分の比率が5:5で同等と考えられる、インスリン アスパルト(溶解インスリン アスパルトとプロタミン結晶性インスリンアスパルトが5:5の製剤)(以下、アスパルト50ミックス)へ変更し、その後6カ月間、血糖コントロールなどを比較した。

 対象は、自施設に外来通院中で、リスプロミックス50の1日3回注射を3カ月以上継続している2型糖尿病患者。2012年6月1日から8月31日の間に試験実施に同意を得られた32例(男性17例)を登録した。

 試験では、患者が使用しているリスプロミックス50を、アスパルト50ミックスの1日3回注射に変更した。変更後3カ月間は前治療と同用量を投与し、その後は主治医の判断で適宜用量調整を行った。

 評価項目は、HbA1c値、インスリンの総投与量および各食前の投与量、1,5AG値、体重、空腹時血糖値、食後1時間血糖値、同2時間血糖値などとした。

 対象の平均年齢は67.7歳、平均BMIは24.49kg/m2、HbA1cは7.62%、1日のインスリン総投与量は31.0単位(朝10.7単位、昼8.7単位、夕11.7単位)だった。

 HbA1c値は変更時の7.62%が3カ月後には7.44%と有意に低下したが(P<0.05)、6カ月後は7.56%で変更時と有意な差を認めなかった。インスリンの総投与量も変更時31.0単位、3カ月後30.6単位、6カ月後31.0単位と有意な変動はなく、各食前の投与比率も同等だった。

 体重も、変更時61.39kg、3カ月後61.47kg、6カ月後61.76kgと推移し、変更時に比べて有意な変化は認めなかった。

 1,5AG値は変更時の8.95μg/mLが、3カ月後9.25μg/mL、6カ月後9.92μg/mLと上昇傾向を認めたが、変更時と比べて統計学的に有意ではなかった。

 空腹時血糖値は変更時120.3mg/dL、3カ月後123.7mg/dL、6カ月後120.0mg/dLであり、有意な変化を認めなかった。食後1時間値は変更時の185.7mg/dLが3カ月後には156.5mg/dL、6カ月後には170.4mg/dLと低下傾向にあった。食後2時間値もそれぞれ174.3mg/dL、144.8mg/dL、160.8mg/dLと低下傾向を認めたが、統計学的に有意な変化ではなかった。

 大谷氏は以上の結果から、「1日3回投与におけるリスプロミックス50からアスパルト50ミックスへの変更では、評価した臨床指標および投与量に大きな変化はなかった。一方で食後血糖値はアスパルト50ミックスの方がやや低くなり、これは超速効型と中間型の比率が同等であっても、製法の違いに起因していると見られる。今回の結果から、食後高血糖が顕著な患者ではアスパルト50ミックスが適している可能性も示唆された」と総括した。