国立病院機構京都医療センターの河野茂夫氏

 外来で標準化されたフットケアを実施することで、糖尿病足病変ハイリスク患者の足切断などの重症化が抑制されることが示された。国立病院機構京都医療センターをはじめとする多施設共同研究により明らかになったもので、同センターの河野茂夫氏らが5月16〜18日に熊本で開催された日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した。

 糖尿病足病変入院患者の足切断率は、国立病院15施設の共同研究(1996〜2009年)によると、1996年に34%、2000年に41%、2006年に33%、2009年に37%と推移している。この時の研究で課題の1つに浮かび上がったのが、施設間格差が大きいことだった。たとえば外来通院中に発症した患者の足切断率は、23.5±27.3%とばらつきが大きい結果だった。

 そこで河野氏らは、国立病院を中心とする14施設に参加を求め、糖尿病足病変ハイリスク患者への外来での予防的フットケアの有効性に関する研究を立ち上げた。目的は、フットケア担当者のケア技術の標準化を行い、外来フットケアによる足切断への予防効果を明らかにすることだった。

 研究では、足潰瘍既往、足切断既往、重症下肢虚血、重症神経障害、透析の糖尿病足病変ハイリスク患者を対象とした。また、フットケア技術を標準化するため、すべての参加施設においてフットケアを担当する医療従事者を対象に研修会を実施し、フットケア患者教育用資材(セルフ・フットケアノート)を作成、配布した。

 対象を強化介入施設群とコントロール施設群に振り分け、強化介入施設では外来受診時に医療従事者が毎回、足のチェックと指導を行った。また、必要に応じ、爪切り、角質処置、足洗浄、靴の作製などのスキンケアを実施した。合わせて、患者に対しては、自宅にて行うセルフケアを指導し記録を残すようにした。一方、コントロール施設群では、従来のフットケアを継続し、必要に応じ足のチェックおよび指導とスキンケアを行った。

 主要評価項目は、足潰瘍発症率、足切断率とし、副次的評価項目は、入院加療率、入院期間、入院医療費など、またフットケアの知識度、セルフケアの実施率、さらにQOLの評価とした。

 試験では114人の患者が登録され、そのうち88人が強化介入施設群で、26人がコントロール施設群でケアを受けた。登録時の患者背景は、年齢が62.4±12.6歳、男性が71%、推定罹病年数は19.4±10.4年、足潰瘍・壊疽既往歴の割合は80.7%、足切断歴も38.6%と高かった。閉塞性動脈硬化症は37.7%、末梢神経障害は91.2%に認めた。

 その結果、試験開始から24カ月における足切断率は、強化介入施設群で2.9%だったのに対し、コントロール施設群で5.6%と、強化介入施設群で少なかった。一方、足潰瘍発症率は、強化介入施設群で52.9%、コントロール施設群で16.7%となり、強化介入施設群で多くなっていた。

 このため足潰瘍発症例における足切断率をみたところ、強化介入施設群では5.4%にとどまっていたが、コントロール施設群では33.3%と高率だった。

 2群間の背景を調べたところ、足潰瘍歴は強化介入施設群が85.2%、コントロール施設群が65.4%で、強化介入施設群の方で多かった。つまり足切断の可能性の高い症例が多かったにもかかわらず、強化介入施設群では足切断の発生が抑制されていたことが分かった。

 これらの結果から河野氏らは、「外来での標準化されたフットケア介入により、糖尿病足病変ハイリスク患者においては、セルフフットケアの実施率が高まり、足潰瘍の発症はあっても、足切断などの重症化は予防されていた」と結論。中でも、足潰瘍歴、進行した神経障害、胼胝、足変形があり、心の健康度が低いなどの症例では、足潰瘍を発症しやすいことも明らかになったとし、「こうした症例では発症予防のためのフットケアがより必要である」などと考察した。