東京都立多摩総合医療センター内科の永田友香氏

 妊娠糖尿病GDM)の診断を受けた症例のうち、産後も糖代謝異常となる例の予測因子として有用なのは、妊娠前のBMIが高いこと、妊娠中の初回HbA1c値が高値であること、GDM診断時のOGTT陽性数が2点以上であることが示された。東京都立多摩総合医療センター内科の永田友香氏が、5月18日まで熊本で開催されていた日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した。

 GDMの診断を受けた症例は、そうでない症例に比べ、将来糖尿病を発症するリスクが7.43倍と高頻度になることが報告されている。永田氏らは今回、同院で産後に実施している75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)のデータを用いて、産後に糖代謝異常となったGDM既往症例の予測因子について検討した。

 対象は、2010年4月から2013年3月までの全分娩件数3558件のうち、GDMと診断され、産後4〜8週にOGTTを施行した125例とした。妊娠中に診断された明かな糖尿病は除外した。

 産後にOGTTを施行した結果、空腹時血糖値が110mg/dL未満、負荷後2時間血糖値が140mg/dL未満だった正常型が97例(77.6%)、空腹時血糖値が126mg/dL以上、負荷後2時間血糖値が200mg/dL以上だった糖尿病型が5例(4.0%)、どちらにも属さない境界型が23例(18.4%)だった。糖尿病型と境界型を合わせて異常型とし、産後に異常型となった例と各糖代謝関連因子との関連について検討した。

 糖代謝関連因子のなかで有意差を認めたのは、妊娠中に同院で測定した初回のHbA1c値と妊娠前のBMIだった。初回のHbA1c値は、正常型(97例、34.9歳)が5.3%、異常型(28例、34.9歳)が5.52%で、異常型で有意に高値だった(P<0.01)。また、妊娠前のBMIも、正常型が23.3kg/m2、異常型が25.6kg/m2と異常型で有意に高かった(P<0.01)。

 GDM診断時のOGTT施行時に、空腹時血糖値、負荷後1時間血糖値、負荷後2時間血糖値のうち陽性数が1点となったのは、正常型で59%、異常群で28%だった。陽性数2点以上となったのは、正常型で41%、異常型で72%となっており、陽性数2点以上となる例は異常型で有意に多かった(P<0.01)。

 これらの結果から永田氏は、「産後の糖代謝異常の予測因子として、妊娠前のBMI、妊娠中の初回HbA1c値、GDM診断時のOGTT陽性数が有用と考えられる」と結論し、「GDM診断時のOGTTで2点以上陽性だった例では、産後の積極的な経過観察が必要だ」と考察した。