関西電力病院の清野裕氏

 ヒトGLP-1誘導体であるリラグルチドは、その有効性については65歳以上の高齢者と若年者で差は認められないが、低血糖回避の観点から高齢者に対してはSU薬とは併用せず、単独で投与した方が望ましいことが明らかになった。リラグルチドの2つの第3相試験の解析結果で、5月16〜18日に熊本で開催された日本糖尿病学会(JDS2013)で、関西電力病院の清野裕氏らが報告した。

 2つの第3相試験は、どちらも2型糖尿病患者を対象とする24週間の多施設共同二重盲検試験。一方はリラグルチドとSU薬の単独療法の比較試験で、リラグルチド0.9mg/日単独投与とグリベンクラミド2.5mg/日単独投与とを比較した。もう一方はSU薬で治療中の患者を対象に、リラグルチド0.9mg/日の併用とSU薬単独療法とを比較した。

 評価項目は、投与24週におけるHbA1cと体重の変化量、および有害事象(低血糖、全ての有害事象、胃腸障害)の発現頻度とした。2つの試験に登録された患者を、それぞれ65歳以上の高齢者と20〜65歳未満の非高齢者に層別し、これらの項目を比較検討した。

 患者背景では、両試験とも高齢者でBMIが低い傾向にあったが、HbA1cはどちらも9%前後と血糖コントロールが不良な集団だった。

 24週後のHbA1c変化量について、まず単独療法試験では、リラグルチド群は非高齢者が−1.86%、高齢者が−1.96%で、年齢による差は認められなかった。また、高齢者・非高齢者にかかわらず、リラグルチド群の方が有意に低下した。

 SU薬併用試験でも同様な傾向にあり、リラグルチド+SU薬群のHbA1cの変化量は、非高齢者で−1.59%、高齢者で−1.79%と差はなく、どちらの年齢層でもSU薬単独群との間には有意差が認められた。

 体重変化量についても、単独療法試験、SU薬併用療法試験ともに、年齢層による差は認められなかった。

 低血糖の発生件数(件/人・年)を単独療法の比較試験で検討すると、「低血糖症状」(症状のみの低血糖で、血糖値は56mg/dL以上、もしくは測定せず)、「重大でない低血糖」(患者自身による処置が可能だった低血糖で、かつ血糖値は55mg/dL以下)、「全ての低血糖」のいずれも、リラグルチド群・SU薬群ともに、高齢者・非高齢者間で差はなく、かつSU群よりもリラグルチド群の方が発生件数は少なかった。なお重大な低血糖は報告がなかった。

 ところがSU薬との併用試験の解析では、結果が異なっていた。リラグルチド+SU薬群における「全ての低血糖」発現件数は、非高齢者の4.043件/人・年に対して高齢者では8.029件/人・年と、ほぼ2倍だった。「重大でない低血糖」「低血糖症状」も、同様な傾向にあった。併用試験におけるSU薬単独群ではこのような高齢者における上昇は見られず、「全ての低血糖」は非高齢者で2.590件/人・年、高齢者で3.405件/人・年だった。併用試験でも、重大な低血糖の報告はなかった。

 清野氏は、「リラグルチドは単独投与およびSU薬併用のいずれにおいても、高齢・非高齢を問わず、体重増加を来すことなく血糖コントロールを改善した。低血糖については、リラグルチド単独療法では高齢者でも非高齢者と同等に低率だったが、リラグルチドとSU薬の併用時は、高齢者で低血糖発現の頻度が高くなっていた。リラグルチドは高齢患者でも有効な治療の選択肢となるが、有害事象回避の点から、可能な限りリラグルチド単独療法が推奨される」と結論した。