天理よろづ相談所病院内分泌内科の林野泰明氏

 昨今、うつ病糖尿病との関連が指摘され、そのメカニズムとして炎症や脂質代謝異常などの関与が指摘されている。日本人の2型糖尿病患者において、うつ病の有無と高感度CRP(以下hsCRP)との関連を調べたところ、BMI高値群においては両者の関連が示唆され、その中間要因として血糖コントロール(HbA1c)が関与している可能性があることなどが示された。5月18日まで熊本で開催されていた日本糖尿病学会(JDS2013)で、天理よろづ相談所病院内分泌内科の林野泰明氏らが発表した。

 対象は、同病院の外来に通院する2型糖尿病患者3573人(平均年齢66歳、女性38.9%)。9項目からなる質問票(PHQ-9)でうつ病の評価を行った結果、non-depressed群は3047人、depresive symptoms群は44人、major depression群は122人で、major depressionは全体の約3%に見られた。

 次に、うつ病の有無をアウトカムとして、hsCRPとの関連についてロジスティック回帰分析を行った。

 hsCRPをもとに4分位としてオッズ比を比較すると(年齢、性別、運動、糖尿病罹病期間、喫煙で補正)、hsCRPが最も高い群(Q4)のオッズ比は最も低い群(Q1)に比べて有意に高かった(Q1=1、Q4=1.64、P<0.05)。

 しかし、HbA1cとBMIの補正をさらに加えたところ、その有意差は消失した。HbA1cやBMIが修飾因子であることが考えられたため、まずは、BMI<25kg/m2群とBMI≧25kg/m2群に分けて同様の分析を行った(年齢、性別、運動、糖尿病罹病期間、喫煙で補正)。その結果、BMI≧25群のみで同様の関連が見られ、hsCRPが最も高い群のオッズ比が有意に高かった(Q1=1、Q4=2.18、P<0.05)。ただし、HbA1cの補正を加えると有意差は消失した。

 HbA1cが修飾因子であると考えられたため、4分位hsCRPとHbA1c値との関連を見てみると、hsCRPが高いほどHbA1c値(NGSP)は高かった(Q1=7.21%、Q4=7.60%、P for trend<0.001)。また、うつとHbA1cとの関連を見ると、major depression群はnon-depressed群と比較して、HbA1cが有意に高かった(8.0% 対 7.4%、P<0.001)。

 林野氏は、「肥満の2型糖尿病患者においては、hsCRPとうつ病が関連していて、hsCRPが高いとうつ病の頻度が高まることが示唆された。ただし、HbA1cで調整後には統計的有意差は消失したことから、HbA1cが、うつとhsCRPとの関連において中間要因となっている可能性がある」と考察した。