京都大学糖尿病・栄養内科学の稲垣暢也氏

 食事療法運動療法では十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者を対象に、新規weekly-DPP-4阻害薬SYR-472を12週間投与したところ、HbA1c(NGSP値)はプラセボ群と比べて有意に低下した。また有害事象の発現率はプラセボ群と大きな差がなかったことが報告された。現在開発中の新規weekly DPP-4阻害薬SYR-472のフェーズ2試験結果について、京都大学糖尿病・栄養内科学の稲垣暢也氏が、5月18日まで熊本で開催された日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した。

 SYR-472(Trelagliptin)は、週1回投与する新規DPP-4阻害薬。フェーズ1試験では、血中半減期(T1/2)が38〜54時間で、既存の1日1回投与のDPP-4阻害薬よりも長いことが示されたほか、DPP-4阻害活性作用は投与168時間後まで維持されたことが報告されている。

 今回発表されたのは用量設定の二重盲検無作為化フェーズ2試験の結果。対象は、食事療法と運動療法で十分な血糖コントロールが得られなかった2型糖尿病患者。SYR-472単剤を投与した際の有効性と安全性を検討した。

 主要評価項目は、投与12週間後のHbA1c値のベースラインからの変化量。副次評価項目は、HbA1c値、空腹時血糖(FPG)など。対象の選択基準は、スクリーニング開始4週間後のHbA1c値が6.9%以上かつ10.5%未満とした。

 8週間のスクリーニング期間後に、SYR-472投与群とプラセボ群に無作為に割り付け、二重盲検下で12週間投与した。SYR-472群は、用量を5群分けており、12.5mg、25mg、50mg、100mg、200mgとした。

 患者背景は、平均年齢が57.8〜61.6歳、男性割合が50.9〜66.7%、BMIが24.78〜25.78 kg/m2、糖尿病罹病期間が69.3〜93.8カ月、HbA1cが7.84〜8.41%、FPGが158.3〜170.0mg/dLだった。

 主要評価項目の投与12週間後のHbA1c値変化量は、プラセボ群(55人)が0.35%だったのに対し、SYR-472 12.5mg投与群(54人)が−0.37%、25mg投与群(51人)が−0.32%、50mg投与群(51人)が−0.42%、100mg投与群(55人)が−0.54%、200mg投与群(54人)が−0.55%となり、いずれもプラセボ群と比べて有意に低下した(P<0.0001)。また、用量依存性が見られ、SYR-472投与量が多いほどHbA1c値の低下量が大きい傾向があった。HbA1c変化量の経時変化を見ると、SYR-472を投与したいずれの群も投与開始2週間後で有意に低下し、投与12週間後まで低下し続けた。

 次に、投与12週間後のFPG変化量を見ると、プラセボ群が9.8mg/dLだったのに対し、SYR-472 12.5mg投与群が−5.4mg/dL、25mg投与群が−10.5mg/dL、50mg投与群が−7.6mg/dL、100mg投与群が−11.5mg/dL、200mg投与群が−12.4mg/dLで、いずれの群もプラセボ群と比べ有意に低下した(P<0.05)。また、用量依存的に減少する傾向がみられた。FPG変化量の経時変化では、いずれの群も投与開始2週間後には大きく減少し、投与12週間後までその値を維持する傾向が確認された。

 さらに、DPP-4活性阻害率の経時変化では、投与2週間後にピークに達し、投与12週間後まで維持されたほか、用量依存的に阻害率が上昇した。

 有害事象の発生率は、プラセボ群とSYR-472投与群との間に大きな差はなかった。薬剤関連の有害事象の発生率はプラセボ群が3.6%、SYR-472 12.5mg群が7.4%、25mg投与群が9.6%、50mg投与群が11.8%、100mg投与群が9.1%、200mg投与群が5.6%だった。重篤な有害事象がSYR-472 50mg群と200mg群でそれぞれ1例ずつ確認されたが、「薬剤との因果関係は否定されている」(稲垣氏)。各群において3%以上の発現率だった有害事象は、鼻咽頭炎、咽頭炎、胃腸炎、膀胱炎、湿疹などだった。いずれの群においても低血糖は認められなかった。

 これらの結果から稲垣氏は、「週1回投与する新規DPP-4阻害薬SYR-472は、2型糖尿病患者の血糖コントロールを有意に改善し、有効性および忍容性において優れていた。1日1回投与する既存のDPP-4阻害薬と同等の有効性があるといえ、今後の糖尿病治療において新しい治療選択肢となることが期待される」と語った。