ロコメディカル江口病院(佐賀県小城市)の田中賢一氏

 健診受診者のうち、アルコールを過剰摂取していない人を対象に脂肪肝診断率を調べたところ、HbA1c値の上昇とともに有意に上昇したことが示された。特に、HbA1c値が6.0%以上の場合、およそ半数の受診者で肝脂肪が確認された。ロコメディカル江口病院(佐賀県小城市)の田中賢一氏らの検討で明らかになったもので、その成果を5月18日まで熊本で開幕されていた日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した。演者らは、HbA1c値が6.0%の場合には非アルコール性脂肪肝NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎NASH)を疑ってエコー検査を実施することが勧められると結論した。

 NAFLDは、過剰なアルコールの摂取がないにも関わらず肝臓に脂肪の蓄積が見られる状態のことで、糖尿病や肥満との関連が指摘されている。単純性脂肪肝と、肝硬変や肝癌に進行するタイプの予後の悪いNASHの2種類で構成される。

 今回、田中氏らは健診受診者を対象に、NAFLD/NASHを疑う例を効率的に拾い上げるマーカーとしてHbA1c値が有用であるかを検討した。

 対象は、同院のほか広島大学、高知大学で健診を受診した、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性の1万574人。脂肪肝の有無は、腹部超音波装置を用いて診断した。HbA1c値を5群(4.9%以下、5.0〜5.9%、6.0〜6.9%、7.0〜7.9%、8.0%以上)に分け、各群における脂肪肝の頻度を比較した。また、脂肪肝を持つ受診者については肝線維化の程度を予測するスコアのFIB-4-indexを算出し、HbA1c値との関連を解析した。

 受診者の背景は、男性が6505人、女性が4069人。年齢は49.8歳、BMIが22.9kg/m2、HbA1c値(NGSP値)は5.7%、ASTが22.1 IU/L、ALTが23.2 IU/L、アルブミンが4.5g/dL、総コレステロールが204.2mg/dL、トリグリセライドが118.7mg/dL。1日のエタノール摂取量が20g超の人の割合は33.2%(3513人)だった。なお、糖尿病治療の有無別に解析はしていない。

 健診受診者の30.7%で脂肪肝が確認された。性別で見ると、男性は40.1%、女性は15.8%で、男性の方が脂肪肝を有する人の割合が高かった。

 さらに、受診者のうち、アルコールを過剰摂取していない人(1日のエタノール摂取量が20g未満)を対象に、HbA1c値別の脂肪肝診断率を調べたところ、HbA1c値が4.9%未満群では14.6%、5.0〜5.9%の群では26.2%、6.0〜6.9%の群では50.6%、7.0〜7.9%群では55.0%、8.0%以上群では59.9%となり、HbA1c値の上昇に伴い有意に脂肪肝を有する受診者の割合が増加した(P<0.05)。

 さらに、脂肪肝が確認された受診者を対象に線維化予測スコアFIB-4-indexを算出したところ、HbA1c値の上昇とともに中間値群(1.3〜2.67)と高値群(2.67超)の割合が増加し、有意な相関が示された(P<0.0001)。

 これらの結果から田中氏は、「HbA1c値が上昇するとともに脂肪肝診断率と、NASHの可能性がある線維化進行例が増え、特にHbA1c値が6.0%以上で著しく上昇した。HbA1c値が6.0%以上の人はまずエコー検査が勧められ、脂肪肝が確認された場合は血小板数、ALT、ASTの値を基にFIB-4-indexを算出し、intermediateもしくはhighの場合は肝生検を提案してもよいのではないか」と語った。