ノボ ノルディスク ファーマの杉井寛氏

 ベースラインのHbA1cが7.5〜8.5%の2型糖尿病患者において持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)は、インスリン グラルギン(以下、グラルギン)に比べて低血糖発現リスクを高めずに、血糖コントロールを同程度に改善することが示された。デグルデクの開発プログラム(BEGIN)のうち2型糖尿病患者を対象として両製剤の有効性および安全性を比較した5つの第3相臨床試験のメタ解析から明らかになったもので、5月16日から熊本で開催されている日本糖尿病学会(JDS2013)で、ノボ ノルディスク ファーマの杉井寛氏が報告した。

 デグルデクは、皮下投与部位においてマルチヘキサマーを形成し、投与部位に一時的にとどまる。マルチヘキサマーから亜鉛が放出されることで徐々にモノマーへと解離し、ゆっくりかつ持続的に血中に移行する。この作用持続化の機序により、デグルデクは1日1回の投与で血糖降下作用が24時間を超えて持続する。

 日本を含めた40カ国以上で約1万1000人の糖尿病患者を対象に実施されたデグルデクの開発プログラムを通じて、デグルデクはグラルギンとHbA1cを同程度に低下させつつ、夜間低血糖については発現リスクをより低下させることが示されている。

 杉井氏は、デグルデクの開発プログラムにおいてグラルギンを対照とした第3相臨床試験で、ベースラインのHbA1cが7.5〜8.5%と中等度の血糖コントロールにある2型糖尿病患者を対象としたメタ解析を行い、血糖コントロールおよび低血糖発現リスクについてデグルデクとグラルギンを比較した結果を報告した。

 メタ解析の対象とした試験は、2型糖尿病患者を対象とした無作為割り付け、非盲検、treat-to-targetデザインで行われた5つの第3相臨床試験。これらの試験では、デグルデクまたはグラルギンは1日1回投与され、投与量はいずれの製剤でも空腹時血糖値70〜90mg/dLを目標として調整した。デグルデク投与期間は、2試験が52週間、3試験が26週間だった。

 デグルデク群(930例)およびグラルギン群(446例)の患者背景は、それぞれ年齢が59.5歳および58.8歳、BMIが30.6kg/m2および30.9kg/m2、糖尿病罹病期間が11.3年および10.8年、HbA1cは両群とも8.0%であり、両群間に大きな違いはなかった。

 HbA1cは、デグルデク群では8.0%(ベースライン)から7.0%(投与終了時)へ、グラルギン群では8.0%から6.9%へと低下した。HbA1cの変化量の群間差の推定値は0.08%(95%信頼区間[CI]:−0.01〜0.18)であり、血糖コントロールは両群で同様であることが示された。

 また空腹時血糖値は、デグルデク群では162mg/dLから109mg/Lへ、グラルギン群では161mg/dLから113mg/dLへと低下した。空腹時血糖値の変化量の群間差の推定値は−6.42mg/dL(95%CI:−10.38〜−2.01)で、デグルデク群で大きく低下し、その群間差は統計的に有意だった(P<0.01)。

 次に、症状の有無にかかわらず血糖値が56mg/dL未満かつ第3者の処置が必要だった低血糖を「全ての低血糖」と定義し、発現について群間で比較した。その結果、全ての低血糖の発現リスクおよび夜間低血糖(全ての低血糖のうち、0時01分から5時59分までに発現したものと定義)の発現リスクは、グラルギン群に比べてデグルデク群でそれぞれ20%(P=0.02)および31%(P=0.01)低下し、いずれも統計的な有意差が見られた。

 以上の検討から杉井氏は、「血糖コントロールが中等度の2型糖尿病患者において、デグルデクはグラルギンに比べて低血糖発現リスクを高めることなく、グラルギンと同程度に血糖コントロールを改善する」と結論した。