公立甲賀病院内科の大村寧氏

 SU薬の二次無効例に対して、DPP-4阻害薬シタグリプチンを追加投与したところ、19例中17例で投与24週間後も良好な血糖コントロールが得られた。また、追加投与した初日から血糖値が有意に低下したことが持続血糖モニターCGM)による評価で明らかになった。Sunshine研究の結果について、公立甲賀病院内科の大村寧氏が、5月16日に熊本で開幕した日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した。

 Sunshine研究は、滋賀医科大学と関連施設の合計7施設が参加した多施設共同研究。インスリン導入予定のSU薬の二次無効例に対し、シタグリプチン投与によって良好な血糖コントロールが得られるかを検討することが目的だ。

 対象は、食事療法と運動療法に加え、SU薬およびDPP-4阻害薬以外の経口血糖降下薬を内服中にも関わらず血糖コントロールが不十分(HbA1c値が7.9〜10.5%[NGSP値])でインスリン導入を予定している2型糖尿病入院患者19人。シタグリプチンを追加投与した4日後(入院9日目)に良好な血糖コントロール(空腹時血糖値が140mg/dL以下、食後2時間血糖値が250mg/dL以下)が得られたかを検討した。

 患者背景は、男性が9人、女性10人、平均年齢が62.4歳、体重が63.2kg、BMIが24.5kg/m2。平均罹病期間が15.2年、HbA1c(NGSP値)が8.4%、空腹時血糖値が160.4mg/dL、空腹時インスリン値が4.7mg/dL、血中Cペプチドが2.0ng/mL。シタグリプチンと併用投与した経口血糖降下薬は、SU薬が19人、ビグアナイド薬が9人、チアゾリジンが6人、αーGIが6人だった。

 入院による観察期間は14日間で、入院1〜3日目に十分な食事療法と運動療法を実施した上で、6日目にシタグリプチン(50mg/日)を追加投与した。観察期間中、食事療法と運動療法は継続したほか、併用するSU薬およびその他の経口血糖降下薬の変更・追加は行わなかった。CGMによる測定は、シタグリプチン投与前日から翌日(入院5〜7日目)に行った。

 シタグリプチンを追加投与した結果、18例はインスリン導入せずに退院した。1例は入院中に重症低血糖により追加投与を中止した。退院した18例のうち17例は、投与24週間後も良好な血糖コントロールを維持したが、残りの1例は投与12週間後にインスリン導入に至った。
 
 CGMで血糖値の変動を確認すると、追加投与前日の平均血糖値は181.1mg/dLだったのに対し、投与初日は161.9mg/dL、投与2日目は158.8mg/dLとなり、追加投与当日に血糖値の低下が見られた。

 さらに、追加投与1日目の夕食後6時間(18〜24時)の平均血糖値を見ると168.8mg/dLで、投与前日の197.2mg/dLと比べて有意な低下が確認された(P<0.001)。また、追加投与2日目の夜間6時間(0〜6時)の平均血糖値は129.5mg/dLで、投与前日の144.3mg/dLと比べて有意に低かった(P<0.001)ほか、血糖値の変動幅が減少した。

 追加投与後の食後血糖のピーク値は、投与前と比べ、朝食後、昼食後、夕食後のいずれも有意に低下した(それぞれP<0.001、P<0.05、P<0.001)。

 大村氏は、インスリン分泌能を示すCPRインデックス(CPI、血中CPR÷血糖値×100)と血糖値変動の関係についても検討。CPIが1.1以上の患者の方がより強い血糖降下作用が示され、投与前日が173.7mg/dLだったのに対し、投与1日目が150.2mg/dL、投与2日目が150.0mg/dLだった。一方、CPIが1.0未満の患者はそれぞれ184.9mg/dL、184.2mg/dL、173.3mg/dLだった。

 また、HbA1c値の変化についてもCPIが1.1以上の患者の方が低下する割合が大きかった。CPIが1.0未満の患者のHbA1c値は投与前が7.9%、投与24週間後が7.2%で有意差がなかったのに対し、CPIが1.1以上の患者ではそれぞれ8.3%、6.7%となり、有意に低下した(P<0.001)。

 これらの結果から大村氏は、「SU薬にシタグリプチンを追加投与することでインスリン導入せずに良好な血糖コントロールが得られた。SU薬二次無効例にはシタグリプチン投与を検討する価値があると考えられ、特にCPIが高い患者ではその効果が期待できる」と語った。また、「SUとシタグリプチンの併用投与で血糖値が下がりやすかったCPI 1.1以上の患者は、夜間低血糖を起こす可能性が高いといえる。追加投与時にはSU薬を減量するなど低血糖への注意を払うことが求められる」と指摘した。今後は、観察期間を延長し、血糖コントロール状態と治療方針の変更状況を把握したいとしている。