横浜労災病院の松澤陽子氏

 カーボカウントの積極的な活用は、活用しなかった場合に比べて血糖コントロールが良好に保たれ、特に血糖値の日差変動の低減に有用であることが示された。この結果は持続血糖測定器CGM)で日常生活における血糖変動を測定したことで分かった。横浜労災病院の松澤陽子氏が、5月16日に開幕した日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した。

 同院の1型糖尿病専門外来では、医師と管理栄養士が協力し、カーボカウント(CC)によるインスリン調整方法を積極的に指導している。今回松澤氏らは、CGMの「iPro2」で血糖変動を計測し、カーボカウントによるインスリン量調節を行っているCC活用群と行っていないCC非活用群に分け、各種パラメーターの比較を行った。

 対象は、同院外来通院中の1型糖尿病患者のうち、20歳以上でHbA1c値5.8%以上10.0%未満だった21例(うち男性3例、年齢42.8歳)とした。CC活用群は10例で、うち男性2例、年齢は39.7歳、罹病期間9.3年、BMI 22.1kg/m2、HbA1c値7.15%、グリコアルブミン(GA)値20.2%、1日のインスリン量0.81u/BWkgだった。CC非活用群は11例で、うち男性1例、年齢は45.6歳、罹病期間11.5年、BMI 22.5kg/m2、HbA1c値8.02%、GA値23.8%、1日のインスリン量0.72u/BWkgだった。HbA1c値とGA値はCC非活用群において有意に高かった。

 外来にてCGMを装着し、日常生活下での血糖変動を計測した。装着翌日の午前0時から連続72時間の血糖値を解析対象とした。両群の血糖推移範囲をみると、CC活用群では血糖値が70mg/dL以上180mg/dL未満の至適血糖幅内にあった時間が65.3%を占めたのに対し、CC非活用群は52.1%だった。また、180mg/dL以上となった時間はCC活用群では19.8%だったのに対し、CC非活用群では42.3%と大幅に高かった。

 一方、55mg/dL以上70mg/dL未満となったのはCC活用群で7.7%、55mg/dL未満となった時間は7.2%だったのに対し、CC非活用群ではそれぞれ2.8%、2.9%で、低血糖を起こした時間はCC活用群の方が多かった。

 次に、松澤氏らは血糖値の日内変動と日差変動の評価を行った。日内変動は、1日24時間を通しての平均血糖変動幅であるMAGE(mean amplitude of glycemic excursions)を用いた。日差変動は、2日間の同時刻における血糖値の差の絶対値を平均して得られるMODD(mean of daily difference of blood glucose)を用いた。

 日内変動と日差変動に有意な相関は認められなかったが、日内変動が大きい患者は日差変動も大きくなりやすいという傾向はあった。CC活用群とCC非活用群で分けて見ると、MAGEは両群ともに大きな差は認められなかったが、MODDの中央値はCC活用群42.8、CC非活用群64.7とCC非活用群の方が変動が大きいことが分かった。

 第1日から第3日までの血糖値推移を見ると、CC非活用群の方が明らかに平均血糖値が高く、変動についてもCC非活用群の方が大きかった。

 これらの結果から松澤氏は、「外来でのCGM測定によって、カーボカウントを日常生活に活用することが血糖コントロールの改善、特に血糖値の日差変動の低減に有用であることが示された」と結論した。「カーボカウントによるインスリン調整は、より柔軟で多様な生活パターンへの対応が可能となり、血糖値の日差変動を低減できるため、血糖のコントロール改善や患者QOLの向上が期待できる」と考察した。