日本糖尿病学会は5月16日、熊本で開幕した学術集会において、新たな治療目標の評価基準を発表した。新基準では、これまで5段階としていた血糖コントロール目標値をHbA1c値の6.0%、7.0%、8.0%の3段階に集約した。その上で、治療目標は年齢や罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、ケアのサポート体制などを考慮して、患者ごとに設定するとした。いずれも成人に対しての目標値であるが、妊娠例は対象外としている。6月1日から運用開始する。

 新基準は、HbA1c(NGSP、以下同)値の7.0%未満を「糖尿病合併症抑制のために推奨される治療目標」と定めた。これを軸に、6.0%未満を「副作用なく達成可能な場合の理想的な治療目標」とし、さらに8.0%未満を「すべての患者が達成すべき治療目標」と設定した。

今大会の会長を務める熊本大学の荒木栄一氏

 今大会の会長を務める熊本大学の荒木栄一氏は、HbA1c値6.0%未満を「血糖正常化を目指す目標」と指摘。適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法でも低血糖などの副作用がなく達成可能な場合の目標と説明した。

 HbA1c値7.0%未満については「合併症予防のための目標」であるとし、これに対応する血糖値としては空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする、と言及した。

 8.0%未満については「治療強化が困難な際の目標」とした。低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標となる。

 荒木氏はセッション「新たなHbA1c目標値についての特別声明」において、「新HbA1c目標値の活用」と題して講演。最後に「熊本宣言2013」を提示し、参加者らの拍手をもって採択された。

 熊本宣言2013では、日本糖尿病学会が糖尿病の予防と治療の向上に取り組んでいることを紹介。糖尿病を放置すると「眼・腎臓・神経などの合併症」を引き起こすこと、また脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化症も進行させることを説明。その上で、血糖の平均値を反映するHbA1cを7%未満に保つことを呼びかける内容となっている。「あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%」。今後、このキャッチフレーズのもと、新基準の浸透を図っていくことになる。