高田中央病院看護部の中野美幸氏

 糖尿病患者に対する足チェックを継続した結果、患者自身の意識が向上し、足病変の頻度が低下していた。また、足病変の存在とHbA1cは相関していないことが分かった。高田中央病院(大分県豊後高田市)看護部の中野美幸氏らが、5月17日から19日まで横浜で開催された第55回日本糖尿病学会(JDS2012)で発表した。

 糖尿病性足病変は、放置すれば下肢切断に至ることもあり、患者のQOLを著しく低下させる。同病院では、足病変の早期発見、予防、患者の意識向上を目的とし、2005年から糖尿病患者に対する足チェックを継続して行ってきた。

 今回の検討対象は、時期を決めて毎年、足チェックを行っている同病院外来に通院している糖尿病患者のうち、2005年に足病変をチェックした99例(男性50例、女性49例)とした。同病院の「足チェックシート」を用いて5項目(白癬の有無、皮膚乾燥、角化の有無、皮膚肥厚、変形・胼胝、発赤・腫脹・傷)について確認した上で、爪切りや白癬の治療、他科への紹介などを行った。また、患者自身が病変に気づいていたかどうか、治療の有無、病変の原因について考えられることを患者から聴取した。

 この99例で2005年と2011年で比較した結果、BMIには変化がなかったが(25.9kg/m2→25.8kg/m2)、HbA1c(JDS値)と食後血糖は改善していた(順に、7.2%→6.5%、201mg/dL→161mg/dL)。

 足病変の頻度に関しては、2005年は73%、2011年は14%と大きく減少していた。内訳を見ると、2005年は白癬35%、皮膚乾燥20%、皮膚肥厚19%、胼胝7%、傷2%だったが、2011年は白癬14%のみで、他はすべて0%だった。

 2011年に足病変を有していた14例(男性7例、女性7例)は、全例が白癬治療を継続中の患者だった。患者自身が白癬を疑って皮膚科を受診するなど、患者が自分の足に注意を向けていることが分かった。14例のHbA1cは6.5%と良好で、血糖コントロールが不良ではないと考えられた。合併症としては、神経障害や腎症2期などが挙げられたものの、重症の合併症はなかった。

 以上の結果を踏まえ中野氏は、「足病変のチェックを継続したことで、患者自身が自分の足に注意を向けるようになり、足病変の頻度が減少した」と結論し、「今後も定期的な観察とケアを行い、足病変の予防、早期発見・治療につなげていきたい」と語った。

(日経メディカル別冊編集)