大阪赤十字病院糖尿病内分泌内科の米光新氏

 超速効型画分と中間型画分を7:3の割合で含有する二相性インスリン製剤インスリン アスパルト-70(以下、70MIX)の1日3回食前投与は、食後高血糖の抑制とともに、基礎インスリンの作用も期待できる。大阪赤十字病院糖尿病内分泌内科の米光新氏らは、2型糖尿病患者における70MIXの短期効果について報告しているが、今回、70MIXの長期投与で良好な血糖コントロールが得られること明らかにした。5月19日マデ横浜で開催されていた第55回日本糖尿病学会(JDS2012)で報告した。

 対象は、血糖コントロール不良でインスリン治療の適応と判断された2型糖尿病患者110人(うち男性65人)。背景は年齢64.5±12.5歳、BMI 24.0±3.9kg/m2、罹病期間12.9±10.2年、HbA1c 9.93±1.9%(NGSP値)で、前治療の内訳はインスリン製剤が41.8%(46例)で、うち経口血糖降下薬を併用していたのが8例。経口血糖降下薬で治療を受けていたのが40.9%(45例)で、うちSU薬が42例、ビグアナイド薬が21例など。薬物治療なしが17.3%(19例)だった。インスリン治療については、3回投与が54.3%だった。

 治療は外来または入院にて70MIXの1日3回投与から開始し、空腹時血糖値が低下しなかった症例では主治医の判断で夕方のインスリンを中間型画分の比率が高い二相性インスリンアスパルト-30(以下、30MIX)などに変更した。70MIXの1日3回投与が継続できたのは78例(70MIX3回群)、夕方のインスリンを30MIXなどに切り替えたのは32例(70MIX2回群)であった。投与した総インスリン量は、32.9±14.6単位で、1日3回70MIXを投与したグループの朝:昼:夕方の投与比率は1:0.76:0.70だった。夕方のインスリンを30MIXなどに変更したのは29.1%で、インスリン投与量は朝:昼:夕方が1:0.63:0.90だった。

 検討の結果、70MIX3回群および70MIX2回群の空腹時血糖値はそれぞれ172±51.1mg/mLおよび182±61.4mg/mLで、食後2時間血糖値はそれぞれ288±87.2mg/mL、302±59.2mg/mLと、いずれも70MIX3回群で有意ではなかったが低い傾向にあった。空腹時のC-ペプチド(CRP)は70MIX3回群2.0±1.3ng/mL、70MIX2回群1.5±0.6ng/mLと前者で有意に低く(P<0.05)、CRPインデックスはそれぞれ1.29±1.10、0.91±0.5と後者で低い傾向があった(P=0.096)。このことから内因性のインスリン分泌が低下している症例では、夕方のインスリンを30MIXなどに切り替える必要性が高いと考えられた。

 12カ月間投与が継続できた64例では、HbA1cはベースラインの9.57%から3カ月目には7.38%へと有意に低下し、12カ月目には7.53%と維持された。70MIX3回群と70MIX2回群の HbA1c推移はほぼ同程度であった。12カ月後の評価が可能であった48例のうち、HbA1c 7.0%以下を達成したのは29.2%(14例)で、その背景を未達成例と比較すると、達成例ではBMIが有意に低く(P<0.05)、糖尿病罹病歴が短い傾向(P=0.08)にあった。

 以上の検討から米光氏は、「2型糖尿病患者では70MIXの1日3回投与によって長期の血糖コントロールが可能であり、内因性インスリン分泌が少ない症例では夕方のインスリンを変更することで同等の血糖コントロールが得られた」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)