九州大学大学院病態機能内科学の藤井裕樹氏

 食物繊維摂取の糖尿病患者に対する影響についてはこれまで海外では報告されているが、日本人を対象にした大規模な研究は数少ない。そこで日本人の2型糖尿病患者4402人を対象に、自記式アンケート調査を実施し、食物繊維摂取量で4分位に分けて比較検討したところ、食物繊維摂取量が多いほど肥満や血糖、脂質、メタボリックシンドロームなどに対して好影響をもたらしていることが示された。5月17日に横浜で開幕した第55回日本糖尿病学会(JDS2012)で、九州大学大学院病態機能内科学藤井裕樹氏らが発表した。

 対象は、福岡県下の16の糖尿病専門施設(7病院、9診療所)に通院中の2型糖尿病患者4402人(男性2494人、女性1908人)。

 朝食前に採血と採尿を行い、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)により、過去1カ月の習慣的な栄養素摂取量を評価した。

 BDHQで算出された食物摂取量(g/日)を密度法でエネルギー調整食物繊維量(g/1000cal)に調整し、4分位(中央値はそれぞれ5.17、6.77、8.13、10.1)に分類。BMI、空腹時血糖、HbA1c、アディポネクチン、血清脂質、尿アルブミンなどの変数に対する影響について重回帰分析(SAS)、ロジスティック回帰分析による傾向性検定などを行った。

 4分位別の臨床特徴としては、食物繊維摂取量が多い群ほど年齢が高く、女性が多く、総エネルギー摂取は少なく、身体活動量は多いなどの傾向が見られた(いずれもP<0.0001)。よっていずれの分析においても、性別、年齢、飲酒、喫煙、余暇身体活動量、糖尿病罹患期間、総エネルギー摂取、経口血糖降下薬、インスリン治療で多変量調整を行った上で比較検討した。

 傾向性検定の結果、食物繊維摂取量が増加するにつれ、朝食前血糖、HbA1cは有意に低下し、BMIは有意に低下した(いずれもP for trend<0.0001)。アディポネクチンは上昇(P for trend<0.01)、C-ペプチドは低下した(P for trend<0.0001)。

 同様に、血圧については、収縮期血圧は低下したが(P for trend<0.05)、拡張期血圧は変化が見られなかった。血清脂質については、中性脂肪は低下し(P for trend<0.0001)、LDL-Cは変化なく、HDL-Cは上昇した(P for trend<0.05)。メタボリックシンドロームの割合は減少した(P for trend<0.0001)し、尿中アルブミンは低下した(P for trend<0.0001)。

 藤井氏は、「2型糖尿病患者において、食物繊維の摂取は肥満、血糖、脂質、メタボリックシンドローム、腎症などに対してよい影響をもたらすことが、日本人の大規模集団においても示された。食物繊維の摂取量が多い群ほど身体活動量が多いなど、健康意識が高い傾向が見られたが、こうした交絡因子の調整後にも同様の結果が示された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)