大阪市立十三市民病院の安藤秀子氏

 2型糖尿病患者では、血糖コントロールが不良なほど歯周病で失われる歯が多い傾向が分かった。また、糖尿病患者は「糖尿病と歯周病の関係」についての知識は持ち合わせているが、その知識が歯磨きなどのセルフケアに活かされていない実態も報告された。2型糖尿病患者220人を対象に実施した聞き取り調査で明らかになったもので、その成果は大阪市立十三市民病院安藤秀子氏(写真)らが、札幌で開催された日本糖尿病学会JDS2011)で発表した。

 安藤氏らは、糖尿病の合併症として注目される歯周病について、糖尿病患者自身がどのように認識し、対策に取り組んでいるのかを把握する目的で、アンケート方式による聞き取り調査を実施した。

 対象は、同病院で治療を受けている2型糖尿病患者の220人(男性138人、女性82人)。聞き取り調査では、年齢、罹病期間、HbA1c(JDS値、以下同)、喫煙習慣、歯磨き回数、歯周病の知識などを尋ねた。また、歯周病の重症度を把握するために、「今までに失われた歯の本数」も自己申告してもらった。対照群は、非糖尿病の生活習慣病患者30人とし、同様の調査を実施した。

 調査の結果、糖尿病患者では、罹病期間が長い患者ほど、あるいは血糖コントロールが不良な患者ほど、失われた歯が多くなる傾向が認められた。

 年齢に着目すると、高齢になるほど失われた歯が多くなっていたが、糖尿病患者の方が非糖尿病患者より若いころから歯を失っていた。また、喫煙との関係では、糖尿病患者では喫煙習慣があることが歯を失うリスクと考えられた。

 歯周病の知識とセルフケアの関係についてみると、糖尿病患者では歯周病に関する知識の有無に関わらず、毎日1回以上の歯磨きの習慣がある人が多かった。ただし、非糖尿病患者と比べると、糖尿病患者では歯磨きが実行できていない割合が高かった。

 これらを踏まえ、罹患期間10年以上、血糖コントロールがHbA1c>8.0%、喫煙、歯磨き回数が毎日1回未満の4つを歯周病リスクとし、これらのリスクの数と失った歯の数との関係をみたところ、リスクの数が多いほど失った歯の本数の多い人の割合が高かった。

 今回の結果から演者らは、2型糖尿病患者に対しては、発症早期から歯周病に対する教育指導が必要であり、定期的な歯科受診を支援していくことが重要と結論づけた。

(日経メディカル別冊編集)