ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)の福田正博氏

 2型糖尿病患者の良好な血糖コントロールを維持する上で、従来の経口血糖降下薬は、それぞれが有用な効果をもたらす一方で、いくつかの問題点が指摘されてきた。2009年末から日本でも使用が可能となったDPP-4阻害薬は、消化管ホルモンインクレチンを介して薬理作用を発揮することから、有害事象の発現頻度が低いと期待されている。ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)の福田正博氏(写真)は、実臨床の中でSU薬とDPP-4阻害薬ビルダグリプチンを併用することにより、体重の増加や重症低血糖などのリスクなく血糖コントロールを改善できることを明らかにし、札幌で開催された日本糖尿病学会JDS2011)で発表した。

 対象は、同クリニックに通院中の2型糖尿病患者52人。患者背景は、男性40人、平均年齢55.2歳、平均罹病期間11.4年で、HbA1c値(JDS値、以下同)は、8.9%、BMIが23.7だった。

 ビルダグリプチンは、(1)SU薬単剤で血糖コントロール不良の患者に対する追加(追加投与群13人)、(2)SU薬と他の経口血糖降下薬を併用している患者は、他の経口薬のみを切り替え(切り替え投与群19人)、(3)薬剤未投与の患者は、少量のSU薬との併用(未治療群20人)のいずれかの方法で、50mg錠を1日1〜2回投与で開始した。

 SU薬の投与量は、日本糖尿病学会の「インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP4阻害薬)の適正使用に関する委員会」の勧告に準じて調整した。

 追加投与群と切り替え投与群において、ビルダグリプチン投与前のSU薬の種類は、グリメピリド14人(1日平均1.5mg)、グリクラジド9人(同43.3mg)、グリベンクラミド8人(同3.3mg)だった。併用していた薬剤は、シタグリプチン9人(1日平均50mg)、ピオグリタゾン5人(同24mg)、メトホルミン4人(同812mg)、ボグリボース4人(同0.9mg)、ミグリトール1人(同150mg)で、1〜2剤をSU薬と併用していた。

 ビルダグリプチン投与開始後最大11カ月間、1カ月ごとにHbA1c値、随時血糖値、BMIなどの各種指標と、低血糖など有害事象の発現を調査し、投与前後で評価した。

 その結果、SU薬とビルダグリプチンの併用により、投与1カ月後にはHbA1c値、随時血糖値ともに有意に低下し、それは最大11カ月の観察期間中、維持されていた(ともにp<0.01)。HbA1c値は、ビルダグリプチン投与前の8.9%から3カ月後には7.4%に低下し、その後は7.2%前後で推移した。

 各群のHbA1c値の推移みると、追加投与群では、ビルダグリプチン投与前の7.8%から1カ月後には有意に低下し(p<0.01)、6カ月後の値は7.1%だった。切り替え投与群では、投与前8.1%から6カ月後には7.2%と有意に低下したが(p<0.01)、その低下は緩やかに推移した。未治療群では、投与前の10.3%から1カ月後には有意に低下し(p<0.01)、6カ月後の値は7.0%だった。投与前のHbA1c値とHbA1c値の改善度との間には良好な正の相関が認められ、投与前のHbA1c値が高いほど改善度が高いという結果が得られた。

 また、C-ペプチドの分泌能と3カ月後のHbA1c値との相関をみたところ、投与前のCPR Indexが1.2超と高い分泌能が保たれた患者のみで、HbA1c値に有意差が認められた(p<0.001)。

 BMIは投与前の23.6から有意な変動を示さず、重篤な低血糖を含めて有害事象の発現はなかった。

 これらの結果から福田氏は、「SU薬とビルダグリプチンとの併用は、臨床的に有用で、安全性にも問題はないと考えられる」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)