自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科助教の佐々木正美氏

 高血糖緊急症例の中に血清CKクレアチニンキナーゼ)値の著しい上昇を認める一群があり、その特徴は、若年男性、急速な高血糖であることが示された。また、こうした症例は横紋筋融解症の可能性があり、経時的に血清CK値と腎機能を確認することが望ましいと考えられた。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科助教の佐々木正美氏(写真)らが、札幌で開催された日本糖尿病学会JDS2011)で報告した。

 高血糖緊急症で入院する症例の中には、血清CK値の上昇を認める例が散見される。糖尿病患者において血清CK値の上昇をみた場合、虚血性心疾患、末梢動脈疾患の合併の除外が重要であり、その他にも様々な鑑別疾患が挙げられる。しかし、明らかな虚血性疾患によらない血清CK値の上昇を認めることもある。そこで、佐々木氏は、高血糖緊急症で入院した症例において、明らかな虚血性疾患によらない、血清CK値の上昇を伴う症例について検討を行った。

 対象は過去5年間に、同科に高血糖緊急症で入院した35例(男性27例、女性8例)。患者の内訳は、糖尿病性ケトアシドーシス25例、高血糖性高浸透圧昏睡4例、そのほかの糖尿病性ケトーシスなどが6例だった。

 平均年齢は47.3±17.3歳(17〜77歳)、1型糖尿病17例、2型糖尿病18例だった。虚血性心疾患、末梢性動脈疾患により、血清CK値の上昇を認める症例や、血清CK-MB値が血清CK値の10%を超えている症例は除外した。

 対象者の血清CK値の最高値は、平均2444±7243mU/mL(32〜2万9904 mU/mL)。35例中3例は1万mU/mL以上と、残りの症例と比べて値が突出して高かった。残りの症例は大半が500mU/mL以下であり、2000mU/mLを超える例はなかった。

 佐々木氏は、血清CK値が著しく高い症例の特徴を調べるために、血清CK値が1万mU/mL以上の3例とそれ以外の例を2群に分けて比較検討した。

 その結果、血清CK値が著しく高い3例は、いずれも糖尿病性ケトアシドーシスであり、(1)若年男性(23〜32歳)、(2)急速な高血糖(発症から緊急入院まで1〜2週間)、(3)糖尿病既往歴なし、(4)血清のNa、Cl、アルブミン補正Ca値が低値、(5)尿潜血定性では3例とも「3+」、(6)血清Cr値が高値傾向――という特徴を認めた。

 横紋筋融解症には明確な診断基準はないが、血清CKやクレアチニンの上昇が認められるとされる。佐々木氏は、「高血糖緊急症例において、血清CK値の著しい上昇を認める症例では、横紋筋融解症も念頭に置き、経時的に血清CK値と腎機能を確認することが望ましいのではないか」との見解を示した。

 なお、この3例に関しては、補液管理を行うことで血清CK値はピークを過ぎた後9〜15日で正常化し、腎機能障害を残すことなく軽快した。

(日経メディカル別冊編集)