せいの内科クリニックの清野弘明氏

 超速効型インスリン製剤の中でもグルリジンは単量体で存在するため、六量体で存在する他の製剤に比べて皮下から血流中への吸収が速やかである。せいの内科クリニック清野弘明氏(写真)が、Basal-Bolus療法を受けている糖尿病患者の超速効型インスリン製剤をグルリジンに変更することによる臨床効果を検討した結果、特に肥満患者で血糖コントロールが改善することを、札幌で開催された日本糖尿病学会JDS2011)で報告した。

 対象は、Basal-Bolus療法を1年以上継続している糖尿病患者10人(1型7人、2型3人)で、男性が3人、平均年齢は46.6歳、糖尿病罹病期間は13.6年、BMIは25.9だった。1日あたりのインスリン投与量はBolusが53.1単位、Basalが27.2単位で、体重あたりの総インスリン投与量は1.06単位だった。超速効型インスリン製剤としてアスパルトが6人、リスプロが4人に投与されていた。

 アスパルトとリスプロを同量のグルリジンに変更し、4カ月後のHbA1c値(JDS値、以下同)とインスリン使用量を比較検討した。ただし、グルリジンの投与量は低血糖の発現、自己血糖測定値により変更した。

 4カ月後のHbA1c値はすべての患者で低下し、変更前の8.3%から7.1%と有意に低下した(p=0.0034)。平均低下量は、1.1%だった。

 肥満の影響を調べるためにBMI 24で対象を2群に分け解析したところ、BMI24以上の群(6人)がHbA1c値の低下は大きく、平均で1.5%低下した。これは、肥満患者では皮下脂肪によってインスリンの血中への吸収が遅延するが、単量体グルリジンへの変更によってインスリンの吸収が速まり、血糖コントロールが改善した結果だと考えられた。

 また、グルリジンへの変更によって、Basalインスリンの投与量はほとんど変わらなかったが、Bolusインスリン投与量はやや低下した。これは、グルリジンに変更したことで早期の食後血糖、特に食後1時間の血糖値が低下し、患者が低血糖を認識したために自身の判断でBolus投与量を減らした影響だと考えられた。

 以上の検討から清野氏は、「Basal-Bolus療法を受けている糖尿病患者の中で肥満傾向があり血糖コントロールが不良の場合には、超速効型インスリン製剤をグルリジンに変更することで血糖コントロールの改善が期待できる」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)