天理よろづ相談所病院内分泌内科の藤田直尚氏

 Basal supported Oral TherapyBOT)の有効性を2年以上の長期に検討した報告は少ない。天理よろづ相談所病院内分泌内科の藤田直尚氏(写真)らは、BOT導入患者44人を24カ月間にわたって追跡し、HbA1c値の推移を明らかにするとともに、長期的なHbA1c値と相関する因子を検索した結果、BOT導入6カ月時点でのHbA1c値が強力な予測因子となることを見出した。これらの結果は、札幌で開催された日本糖尿病学会JDS2011)で発表した。

 対象は、過去にインスリン使用歴がなく、2004年5月〜2008年11月にグラルギン1日1回注射療法を新規に導入された2型糖尿病患者のうち、導入時のHbA1c値(JDS値、以下同)が7.5〜12.5%かつ6カ月以上の治療が継続された44人。平均年齢は63.8歳、平均罹病期間は12.5年で、導入時の平均HbA1c値は9.2%だった。

 また44人中、脱落やインスリン離脱、他院への転院者などを除く33人の患者が24カ月間のBOTを継続できた。これらの背景因子は、平均年齢が63.0歳、平均罹病期間が12.2年、導入時の平均HbA1c値が9.0%で、経口血糖降下薬の数は1.6種類と、登録時の44人とほとんど変わらなかった。

 BOT導入後のHbA1c値は、3カ月後には7.2%に低下し、24カ月後までほぼ同レベルのまま推移した。しかし、6カ月後にHbA1c値7.0%未満を達成できた患者群(達成群)とできなかった患者群(未達成群)に分けると、達成群のHbA1c値は、3カ月以降6%前後を推移していたのに対し、未達成群のHbA1c値は8%程度で、それ以上は下がらなかった。達成群は、24カ月後もすべての患者が7.0%未満だったのとは対照的に、未達成群は、24カ月後もすべて7.0%以上のままだった。

 また、達成群では、グラルギン投与量が徐々に減る傾向にあったのに対し、未達成群では最終的に2倍程度まで増えていた。

 次に藤田氏らは、相関分析と回帰分析により、24カ月後のHbA1c値を予測する因子の検索を行った。その結果、BOT導入時の罹病期間と併用薬剤種類数の2つが有意な規定因子として同定された。さらには、6カ月後のHbA1c値と24カ月後のHbA1c値の間には非常に良好な相関が認められた(r=0.805、p<0.001)。

 以上の結果から藤田氏は、「BOT導入後6カ月の時点でHbA1c値が不良だった患者については、他のインスリン製剤の追加など、レジメンの変更を考慮するべきだろう」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)