大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の浦田博美氏

 糖尿病腎不全患者の血糖コントロールには、速効型インスリン超速効型インスリンのどちらが好ましいのか――。大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学浦田博美氏(写真)らは、持続血糖モニタリングシステムCGMS)を用いて、両製剤の有効性を評価した結果、超速効型インスリンの方が血糖上昇抑制効果に優れ、かつ低血糖のリスクが少ないとの結論を得た。この結果は、札幌で開催中の日本糖尿病学会JDS2011)で発表した。

 糖尿病性腎不全では、インスリン抵抗性やインスリン分泌低下などの血糖上昇につながる病態に加え、腎での糖新生低下、インスリンクリアランスの低下といった血糖低下につながる異常、神経障害に伴う胃腸障害など、健常者に比べてかなり複雑な糖代謝状況に陥る。だが、その血糖コントロールに適したインスリン製剤の種類や投与方法などを示したガイドラインは存在せず、手探りで治療が行われているのが現状だ。

 今回の検討の対象は、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上またはeGFRが30mL/min以下で、透析導入前の安定した糖尿病性腎不全患者8人(男性6人、女性2人、年齢44〜77歳)。うち5人がインスリン(混合二相性インスリン、超速効型インスリン、超速効型インスリン+持効型インスリンなど)を導入しており、3人が経口血糖降下薬のみで治療を受けていた。

 浦田氏は、これらの患者を入院管理のうえ経口血糖降下薬を中止し、食前の血糖値が100〜120mg/dL、食後血糖値が120〜170mg/dL程度になるようにインスリン量を調整した。経口血糖降下薬中止後のwash out期間を最低7日間設け、CGMSを装着のうえ、第1日目(Day1)に速効型インスリンを毎食前、第2日目(Day2)に超速効型インスリンのグルリジンを毎食直前投与し、Day1、Day2の食後血糖値の変化量を比較した。

 その結果、超速効型インスリンを使用した場合、朝食後と夕食後の血糖変化量が小さく、食後血糖値の上昇が抑制されていることが示唆された。また、昼食後における低血糖の兆候は見られず、超速効型インスリンの効果が遷延しないためであろうと考察した。

 糖尿病透析患者の血糖コントロール不良は、生命予後の悪化に結びつくことが数多く報告されている。糖尿病性腎不全患者の血糖コントロールは、インスリン療法が基本となることから、そのレジメンは重要である。今回の結果から、透析導入前の糖尿病性腎不全患者に対しては超速効型インスリンの方がより好ましいことが示唆された。

(日経メディカル別冊編集)