ノボ ノルディスク ファーマクオリティー・マネジメント本部シニアマネジャーの志村木綿子氏

 リラグルチドの副作用は胃腸障害が最も多く、その大半が治療開始1週間以内で出現していること、また、糖尿病ケトアシドーシスを発症し死亡に至った症例が2例報告されたが、安全性情報の伝達後、高血糖の報告は減少していることが明らかになった。発売開始から9カ月間で集積された情報をまとめたもので、ノボ ノルディスク ファーマクオリティー・マネジメント本部シニアマネジャーの志村木綿子氏(写真)が、札幌で開催中の日本糖尿病学会(JDS2011)で報告した。

 リラグルチドは、日本では2010年6月11日に発売され、すでに6カ月間の市販直後調査を終了している。今回、志村氏らは、6カ月間の調査期間に加えて、2011年3月10日までの9カ月間に集積された情報について検討を行った。

 2010年6月11日〜2011年3月10日の集積期間中、同薬は約6700施設に納入され、推定約1万2000人に投与された。期間中に集積された副作用は、384例で698件(重篤76件、非重篤622件)だった。

 特記すべき事象としては、胃腸障害の281件が突出して多かった(うち重篤15件、非重篤266件)。次に多かったのが、一般・全身障害および投与部位の状態の132件(うち重篤7件、非重篤125件)で、各種注射部位反応94件、死亡3件などが含まれた。さらに、代謝および栄養障害の113件が続いた(高血糖33件、糖尿性ケトアシドーシス7件、低血糖26件)。これらの集積状況は臨床試験の状況と同様だった。

 胃腸障害の内訳は、嘔気27.21%、嘔吐17.61%、下痢15.49%、便秘9.86%、腹部膨満感3.87%、胸やけ3.17%などだった。

 発現時期は、投与開始から7日以内に全体の約70%が発現していた。胃腸障害が回復・軽快した症例におけるその後の投薬状況は、継続が40.72%(68件)、中止・休薬が59.28%(99件)だった。

 次に、注射部位に関連した副作用については、発赤36.17%、そう痒感19.15%、腫脹8.51%、発疹8.51%、硬結6.38%などだった。

 発現時期は、4週間が25.71%(18件)と最も多く、次に1週間以内に発現した患者が12.86%(9件)で多かった。注射部位の症状が回復・軽快した症例におけるその後の投薬状況は、継続56.14%(32件)、中止・休薬43.86%(25件)だった。

 低血糖は26件報告されたが重篤とされたのは2件にとどまった。発現時期は投与開始2週間以内に全体の65%程度の発現がみられていた。26件の併用薬は、「なし」が19件、SU薬が6件、インスリン製剤が1件だった。

 糖尿病ケトアシドーシスと高血糖については、9カ月間で、高血糖33件、糖尿性ケトアシドーシス7件、ケトーシスが1件の合計41件が報告された。

 リラグルチドについては、臨床試験では確認されていなかった糖尿病ケトアシドーシスおよび高血糖が多く報告され、糖尿病ケトアシドーシスを発症し、死亡に至った症例も2例報告された。これを受けて同社は、昨年10月に添付文書の改訂を行い、安全性情報の伝達を行った。
 
 志村氏は、その後の糖尿病ケトアシドーシスおよび高血糖の発現状況の推移を示し、2010年11月以降は、高血糖の報告数が減少していることを報告。さらに、今後も製造販売後調査の実施と収集した情報の分析と情報提供を行っていくことで、適正使用の推進に努めていきたいと語った。

(日経メディカル別冊編集)