JA愛知厚生連豊田厚生病院内科の加藤大也氏

 2型糖尿病の治療においてインスリン強化療法は広く施行されているが、追加する超速効型インスリン製剤の種類について検討した報告は少ない。5月19日から札幌で開催されている日本糖尿病学会(JDS2011)において、JA愛知厚生連豊田厚生病院内科の加藤大也氏(写真)が、持効型インスリン製剤グラルギン併用下で、超速効型インスリン製剤のリスプロまたはアスパルトをグルリジンに変更することで、低血糖の発現頻度が低下、患者満足度が高まる可能性があることを報告した。

 対象は、グラルギンとリスプロまたはアスパルト併用による強化療法を12週間以上継続している外来通院中の2型糖尿病患者36人。リスプロまたはアスパルトを同単位のグルリジンに切り替えて12週間追跡し、HbA1c値(JDS値、以下同)、BMIの変化、低血糖の発現頻度、患者の治療満足度について調べた。低血糖の定義は1日3回の自己血糖測定による血糖値が70mg/dL未満とした。患者の治療満足度は糖尿病治療満足度質問票(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire:DTSQ)を用いて評価した。

 対象となった36人の背景は、平均年齢が59歳、男性が61.1%(22人)、BMIは24.8kg/m2、糖尿病罹病期間は8.5年、総インスリン投与量の平均値は29.6単位/日、基礎インスリン投与量は14.7単位/日、追加インスリン投与量は14.9単位/日だった。

 超速効型インスリン製剤をグルリジンに切り替えたところ、HbA1c値は7.0%から6.9%へと低下傾向を示したが、BMIは24.8kg/m2と変わらなかった。総インスリン量は29.6単位/日から30.1単位/日に変化し、低血糖の発現頻度は51回から37回に低下傾向が認められた。

 前治療で低血糖を経験していた11人を対象に同様の検討を行ったところ、グルリジンへの切り替え前後でHbA1c値、総インスリン量、基礎インスリンン量、追加インスリン量、BMIには有意な変動は認められなかったが、低血糖の発現頻度は1カ月当たり4.6回から2.7回に有意に低下した(p=0.002)。また、この11人のうち低血糖の頻度が増加した患者はいなかった。

 患者の治療満足度については、グルリジンへの切り替えによって「最近、血糖値が望ましくないほど低いと感じたことがない」(p=0.008)、「この治療法は融通性が高い」(p=0.042)、「自身の糖尿病への理解度に満足している」(p=0.001)、「この治療法を同じ種類の糖尿病患者に勧めたい」(p=0.019)といった項目で満足度が有意に高かった。

 これらの結果について加藤氏は、「グルリジンは短時間で作用が消失することから、低血糖のリスクが少なく、速やかな効果発現により食後の血糖コントロールが改善、HbA1c値も低下傾向を示したことから、その結果として治療満足度が向上したのではないか。また、治療の融通性が改善した理由として同一のデバイスを使用したことが考えられる」とした。

 以上の検討から加藤氏は、グラルギン併用下でリスプロまたはアスパルトを用いた強化療法を実施している患者において、超速効型インスリン製剤をグルリジンに変更することで、血糖コントロールの改善ならびに低血糖の発現頻度は低下し、患者満足度の改善が得られる可能性があると述べて講演を終えた。

(日経メディカル別冊編集)