筑波大学の斎藤あき氏

 20歳の時から10kg以上も体重が増えたことのある人は、未診断糖尿病のリスクが大幅に上昇することが分かった。人間ドックを受診した男性1万7000人余を対象に検討した結果、明らかになったもので、筑波大学の斎藤あき氏(写真)らが5月19日、札幌で開催されている日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。

 斎藤氏らは、20歳時の体重や生涯最大体重などの体重歴が、未診断糖尿病または糖尿病前症患者を発見する指標となる可能性を大規模横断調査により検討した。

 対象は、東京の虎の門病院の人間ドックを受診した男性1万7304人で平均年齢は50.9±10.1歳だった。問診票により20歳時体重と生涯体重を調査し、現在と20歳時点、さらに最大BMIなどの肥満度、20歳時点から現在までの体重増加量や20歳時点から最高体重までの体重増加量などの体重変化について調査を行った。また、未診断糖尿病と糖尿病前症については、どちらも糖尿病の既往歴がないことを前提とし、米国糖尿病学会ガイドライン2010に沿って判定した。これにより、未診断糖尿病は、空腹時血糖値が126mg/dL以上またはHbA1c(国際標準値、以下同)が6.5%以上とした。糖尿病前症は、空腹時血糖値が100-125mg/dLまたはHbA1c5.7-6.4%とした。

 その結果、受診時点のBMIは23.4kg/m2(中央値)、20歳時BMIは21.0kg/m2(中央値)、生涯最大BMIは24.9kg/m2(中央値)だった。受診時点で未診断糖尿病は767人(4.4%)、糖尿病前症だった人は7560人だった。

 体重変化と糖尿病前症、未診断糖尿病のオッズ比(体重増加5kg当たりの年齢調整オッズ比)を求めたところ、20歳時から最大体重まででは、糖尿病前症が25%(p<0.001)、未診断糖尿病が39%(p<0.001)となった。20歳時から現在まででは、それぞれ27%(p<0.001)、29%(p<0.001)となった。体重増加5kg当たりの年齢・現在BMI調整オッズ比を求めたところ、20歳時から最大体重まででは、糖尿病前症が8%(p<0.001)、未診断糖尿病が19%(p<0.001)となった。20歳時から現在まででは、糖尿病前症が11%(p<0.001)、未診断糖尿病は5%(有意差なし)となった。

 これにより、20歳時点の体重と最大体重との差が5kg増加するごとに、未診断糖尿病は39%、糖尿病前症は25%有意に上昇することが分かった。また、現時点のBMIでやせ型の人と肥満者に層別化して解析したところ、20歳の時から最大体重までの体重増加歴が10kgを超えた場合は、未診断糖尿病をやせ型の人で72%、肥満者では97%も上昇させることも明らかになった。

 これらの結果から演者らは、「最大体重や20歳の時の体重などの体重歴は、現在の未診断糖尿病や糖尿病前症を反映する有用な指標である」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)