名古屋第一赤十字病院内分泌内科の堀部亮氏(左)と共同演者である同科部長の山守育雄氏(右)。

 低血糖救急外来に搬送された135症例の背景を調べたところ、60歳以上が71%を占め、その多くが食事摂取不良が誘因となっていることが明らかになった。名古屋第一赤十字病院(名古屋市中村区)内分泌内科の堀部亮氏(写真)らが発表した。

 堀部氏らは、救急外来搬送患者における低血糖昏睡の実態を把握するために、2009年1月〜2010年3月に低血糖の病名が登録されている135症例を電子カルテより抽出し、それぞれの患者背景について調査した。

 その結果、平均年齢は66.0±18.3歳、HbA1c(JDS値、以下同)は7.18±1.56%だった。年齢別にみると、61〜70歳が39人、71〜80歳が31人、81〜90歳が26人、91〜100歳が3人と、60歳以上が71%を占めた。

 来院時意識レベル(JCS)は、3桁が42人、2桁が17人、1桁が42人、0(意識清明)が27人だった(不明7人)。季節は7〜9月が最も多かった。

 低血糖の誘因を調べたところ、食事摂取不良が突出して多く47人だった。そのほか、低栄養7人、投与量不適切6人、ダンピング症候群4人、反応性低血糖2人だった(不明69人)。

 また、HbA1c値は、5.8%未満の患者から、8.0%以上の患者まで様々で、一定の傾向は認めなかった。つまり、低血糖は厳格な血糖コントロールを目指している例で多いというわけではなく、コントロール不良例でも起こっていた。

 治療内容はインスリンが54人、経口血糖降下薬40人、両者併用は17人、投薬なしが21人だった(不明3人)。

 SU薬の使用例については、50歳未満ではほとんどおらず、大半が高齢者だった。また、SU薬の使用量が多い群で低血糖が起こる事例が目立っており、この点について堀部氏は「高齢者に対するSU薬での厳格管理は、慎重であるべきではないか」と述べた。

 これらの結果から堀部氏は、「高齢者では、体調不良や手抜きで食事を摂らなかった際に低血糖を起こしたケースが多かった。そういうケースでは、薬はいつも通り服用しており、食事と薬の関係が意識されていないと感じる」と述べ、できるだけ、適切な量の食事を規則正しく食べてもらうよう働き掛けるとともに、シックデイへの対策をより積極的に行っていく必要があると指摘した。

(日経メディカル別冊編集)