兵庫医科大学先進糖尿病治療学特任准教授の浜口朋也氏

 HbA1cよりも短期間の血糖変動を反映するとされているグリコアルブミン(GA)を使うことで、投与開始後わずか2週間で、治療開始12週間後のシタグリプチンの治療効果が予測できる可能性があることが示された。12週間後の推定HbA1c値を算出する式は、治療開始時のHbA1c(%、国際標準値、以下同)に、治療開始から2週間の「GAの変化量(⊿GA2W[%])×0.6」を足した値になることも分かった。兵庫医科大学先進糖尿病治療学特任准教授の浜口朋也氏(写真)が5月19日、札幌で開催されている日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。

 GAは2週間ほど前の平均血糖値を反映しており、HbA1cよりも短期間の血糖変動をみるのに適していると考えられている。浜口氏は、シタグリプチン治療開始から2週間のGAの低下の程度から同薬剤の長期効果が推測できるかを検討した。

 対象は、シタグリプチン50mg/日を12週間継続投与した2型糖尿病患者28例。患者背景は、年齢63.4±13.3歳、男性15例、女性13例。BMIは24.1±4.3kg/m2、HbA1c(国際標準値)は9.4±1.8%、GAは26.9±7.7%だった。治療内容は、シタグリプチン単独投与が8例、他の経口薬との2剤併用が8例、3剤併用が8例、4剤併用が4例。なお試験期間中、併用薬は変更しなかった。

 検討の結果、シタグリプチン投与開始時のGAとHbA1cの値は、有意の正の相関を示した(r=0.933)。投与開始から2週間のGAの変化量(⊿GA2W[%])と12週間後のHbA1cの変化量(⊿HbA1c12W[%])も有意な正相関を示した(r=0.847、p<0.0001)。

 そこで、治療開始2週間後のGAの変化量を用いて12週間後の推定HbA1c値(eHbA1c12W)を求める計算式を作成したところ、計算式は「12週間後の推定HbA1c値(eHbA1c12W[%])=治療開始時のHbA1c(%)+治療開始から2週間のGAの変化量(⊿GA2W[%])×0.6」となった。

 この式を用いて、2週間後のGAの変化量から12週間後の推定HbA1c値を算出し、それを12週間後に実際に測定して得たHbA1c値と比較したところ、有意な正相関を示し、この式の妥当性が確認できた(r=0.735、p<0.0001)。

 また、同じ手法で、投与開始4週後のGAの変化量から12週間後の推定HbA1c値を求める計算式も作成したところ、計算式は「12週間後の推定HbA1c値(eHbA1c12W[%])=治療開始時のHbA1c+治療開始から4週間のGAの変化量(⊿GA4W[%])×0.341」となり、こちらの式も実測値と有意な相関を認めた(r=0.924、P<0.0001)。

 これらの結果から、浜口氏は、「シタグリプチン治療開始2週間後ないしは4週間後のGAの変化量により、治療開始12週後のHbA1c値を推定できるのではないか」と述べた。

 シタグリプチンについては、投薬制限が解除されたことから、今後は治療開始から4週間のGAの変化量(⊿GA4W[%])から求める計算式を使うのも有益かもしれない。共同演者の1人である公立学校共済組合近畿中央病院(兵庫県伊丹市)副院長の古賀正史氏は、「計算式を診療で使う際には、式の最後の「×0.341」を「×3分の1」に変えて計算すると使いやすい」と補則した。

(日経メディカル別冊編集)