日本糖尿病学会の第54回年次学術集会が5月19日、新緑の鮮やかな札幌で開幕した。発表演題は過去最多となる2279題を数え、5月21日までの3日間で1万人規模の参加が見込まれている。

 今回のメーンテーマは「糖尿病と合併症:克服へのProspects」。会長を務める旭川医科大学教授の羽田勝計氏(写真)は挨拶の中で、新たな糖尿病診断基準の策定やHbA1c値の国際標準化の進展に呼応し、糖尿病の早期診断・早期治療が可能になってきたと指摘。また、インクレチン関連薬の登場により薬物療法のパラダイムシフトが引き起こされ、単に血糖コントロールだけでなく膵β細胞の保護をも視野に入れた治療が可能になりつつあると続けた。さらに、合併症においては、特に腎症では寛解すら可能な時代になったとの認識を示した上で、「まさに糖尿病と合併症の克服へ期待の日が射してきたと言える」とメーンテーマの設定理由を解説した。

会長を務める旭川医科大学教授の羽田勝計氏

 今回は、東日本大震災からの「復興支援」もテーマに据えているのが特徴の一つだ。初日には緊急シンポジウム「災害時の糖尿病医療」が、2日目には特別セッション「災害時のチーム医療」を予定している。日本糖尿病学会としての対応は素早かった。東日本大震災の発生から2日後の5月13日には、日本糖尿病学会事務局内に対策本部を設置した。また、各県の被害状況や病院稼働状況とインスリンなどの流通状況を調査し、さらに被災地である岩手県、宮城県、福島県、茨城県で患者を対象としたインスリン相談窓口を開設するなど、積極的な対策を打ってきた。「復興支援」のテーマで開催されるプログラムでは、被災地での糖尿病診療の現状が報告される一方、今後への課題と対策について議論を深めることになる。

 このほか、特別演題として「Leading-edge Lectures」を新たに企画しているほか、「北の国から」や「風のガーデン」などの脚本家として知られる倉本聰氏による「あたりまえの暮らしを求めて」と題する特別講演も予定している。

 学術集会の中心である一般演題は、2279題が採択となり、これまでで最大規模となった。うち1305題が口演、974題がポスターによって発表される。

(日経メディカル別冊編集)