東海大学医学部腎内分泌代謝内科の豊田雅夫氏

 強化インスリン療法における中間型インスリン製剤をインスリン グラルギンに切り替え、Basal/Bolus比率を1対1に近づけることで、インスリン投与量や体重の増加を来すことなく血糖コントロールが改善することを、東海大学医学部腎内分泌代謝内科の豊田雅夫氏(写真)が、第53回日本糖尿病学会年次学術集会で報告した。豊田氏らは昨年、2型糖尿病患者162例を対象にしたインスリン グラルギンの有用性の検討結果を報告しており、今回は対象を409例に増やして再検討した結果を報告した。

 2型糖尿病患者の厳格な血糖コントロールを目指すためには、基礎インスリンとして中間型インスリン製剤(以下、NPH)を増量する必要がある。しかし、NPHは血糖降下作用のピークがあり、夜間低血糖の懸念から、十分な増量ができない患者が数多くいる。

 一方、持効型インスリン製剤であるインスリン グラルギン(以下、グラルギン)は、明らかな血糖降下作用のピークを示すことが少ないため、強化インスリン療法における基礎インスリンとして有用性が高いと考えられる。Yokoyama Studyでは、強化インスリン療法を行っている2型糖尿病患者のNPHをグラルギンに切り替え、総インスリン投与量を変えずBasal/Bolus比率を1対1に近づけることで、NPHを継続した群に比べて3カ月後、6カ月後ともにHbA1c値が有意に改善することが報告されている(Yokoyama H., Diabetes Res Clin Pract 73:35-40,2006)。

 豊田氏らが再検討した対象は、2007年10月から2009年9月までの期間に同氏らの施設で、強化インスリン療法の基礎インスリンをNPHからグラルギンに切り替えた2型糖尿病患者409例。切り替え後には基礎インスリン量を増やし、かつBolusインスリン量を減らして、1日のインスリン投与量を一定に保ったまま、可能な範囲でBasal/Bolus比率を1対1に近づけるように努めた。

 グラルギンに切り替えて平均11.9カ月間経過後までの検討の結果、HbA1c値は7.6%から7.1%に有意に低下したが(p<0.0001)、体重は67.5kgから67.3kgとわずかに低下しただけで有意な変動は認められなかった。また、1日の総インスリン量は41.0単位から40.0単位とほぼ一定だったが、1日の総インスリン量に占める基礎インスリン量の割合は33.4%から47.4%に有意に上昇し(p<0.0001)、Basal/Bolus比率をほぼ1対1に近づけることができた。

 以上の結果から豊田氏は、強化インスリン療法の基礎インスリンとしてグラルギンを用い、Basal/Bolus比率を1対1に近づけることで、「インスリンの総投与量を増やすことなく、HbA1c値を改善できることを、昨年の第1報よりも多数例の検討で再確認することができた」と述べた。NPHに比べて明らかなピークがなく、効果がほぼ24時間持続するグラルギンは、基礎インスリンとしての有用性が高いと考えられる。

(日経メディカル別冊編集)