江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科の石田英則氏

 ビグアナイド薬の1つであるメトホルミンは、患者の肥満度にかかわらず2型糖尿病患者の血糖コントロールに有効であり、非肥満患者でも十分な効果が認められるという治療成績を、江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科の石田英則氏(写真)らが第53回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。

 ビグアナイド薬は一般にインスリン抵抗性改善薬に分類され、肥満のある2型糖尿病患者に有効なことが知られているが、日本人に多い非肥満患者に対する効果についての報告は少ない。こうした理由から石田氏らは、メトホルミン投与後の経過を長期間観察できた非肥満の2型糖尿病患者におけるメトホルミンの有効性を、肥満者での治療成績と比較検討した。

 対象は、2000年1月〜2009年9月の間に同院外来でメトホルミンを投与された2型糖尿病患者のうち、投与前の臨床背景が明らかで、12カ月以上の経過を観察できた213例(男性108例、女性105例、平均年齢59歳)。メトホルミン開始時のBMI別に、BMI 25以上(肥満、105例)、22〜25(標準体重、83例)、22未満(やせ形、25例)の3群に分類し、臨床経過を後ろ向きに検討した。

 対象となった患者背景について、肥満群で年齢が若く、罹病期間が短く、高血圧合併例が多かった。投与開始時に行われていた糖尿病治療の内容については、肥満群で食事療法の比率が多い傾向があり、BMIが低い群ほど薬物介入の割合が高かった。インスリン使用率には差がなかった。

 患者全体でのメトホルミン使用量は、開始時が平均560mg/日(最小250mg、最大750mg)であり、3年後は平均700mg/日(最小250mg、最大1500mg)だった。平均HbA1c値は開始時8.09%から、1年後6.93%、2年後7.06%、3年後6.88%と有意な改善を認めた。BMIと体重については3年間で変化がみられなかった。

 BMI別の3群で臨床経過を比較すると、BMIは開始後1年の時点でやせ形群でベースラインより増加し、他の群では減少していた。体重は肥満群の3年後でベースラインより有意に減少した。HbA1c値については、開始時には3群間で有意差はなく、1年後にやせ形群で有意な低下を認めたが、2年後、3年後には3群間の差はほとんどなく、メトホルミンの投与が長期に及ぶにつれて血糖改善効果の群間差はみられなくなった。

 メトホルミンの使用量は、いずれの群でも投与期間が長くなるにつれて増加していた。開始時には3群間に差はなかったが、3年後の段階では肥満群でやせ形群より高用量を使用していた。

 やせ形の患者が少数だったことから、やせ形群と標準体重群をまとめて「BMI 25未満」の非肥満群(108例)として肥満群(105例)と比較した結果、HbA1c値に関しては両群間に差がなかったが、メトホルミンの使用量は、1年後、2年後において非肥満群の方が有意に低用量で推移していた(ともにp<0.01)。

 以上の成績から石田氏は、「メトホルミンは肥満度に関係なく2型糖尿病患者の血糖コントロールに有効であり、非肥満患者ではより低用量で効果が得られると考えられる。1年以降のHbA1c値の上昇に関してはより詳細な検討が必要だ」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)