公立昭和病院内分泌・代謝科の貴田岡正史氏

 食事・運動療法のみでは血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象に、インスリン分泌促進薬SU薬)とインスリン抵抗性改善薬チアゾリジンTZD)を単独投与した場合の血糖コントロール改善効果を比較した、我が国初の無作為化比較試験の成績が、第53回日本糖尿病学会年次学術集会において明らかになった。6カ月間の投与後においてHbA1c値には有意差がなかったが、SU薬はTZDと比較して総コレステロールを有意に低下させ、TZD群では体重が有意に増加していた。試験を主導した社団法人日本糖尿病協会の学術委員会を代表して、公立昭和病院内分泌・代謝科の貴田岡正史氏(写真)が試験の結果を報告した。

 対象は、関東および静岡県の33施設に通院している2型糖尿病患者で、それまで食事療法・運動療法のみによる治療を行っていた症例のうち、HbA1c値が6.5%以上かつ10.0%未満であり、本登録時とその3〜6週前の仮登録時に測定したHbA1c値の差が1%未満と、比較的安定した191例であった。

 この対象者を無作為にSU薬群とTZD群の2群に分け、各試験薬の単独投与を6カ月間行った。SU薬群はグリメピリド0.5mgまたは1mgで開始し、空腹時血糖120mg/dl未満を目標に最大量を6mgとした。一方、TZD群は、ピオグリタゾン15mgから開始して最大量を女性30mg、男性45mgとした。

 その結果、投与開始6カ月後の「HbA1c値6.5%未満」の達成率は、SU薬群61.2%、TZD群56.8%であり、SU薬群で高い傾向がみられたが、両群に有意差はなかった(p=0.64)。HbA1c値の変化を見ると、投与3カ月後および6カ月後で、SU薬群、TZD群ともにベースラインからの有意な低下を認めた。3カ月後ではTZD群に比べてSU薬群でHbA1c値が有意に低く(p<0.05)、HbA1c値の改善効果はSU薬群の方が早くから認められた。

 投与開始6カ月後の体重は、TZD群でのみ、開始時と比較して有意に増加していた(p=0.036)。BMIも同様にTZD群のみで有意に高く(p=0.016)、BNPについても有意に増加していた(p=0.003)。

 一方、総コレステロール値の推移を見ると、SU薬群では3カ月、6カ月と徐々に低下し、6カ月後にはTZD群との間で有意差が認められた(p<0.05)。6カ月後のベースラインからの変化量は、TZD群ではほとんど変化せず、SU薬では10mg/dlの低下だった。LDLコレステロール値の変化量はSU薬で低下傾向が見られたが、有意差には至らなかった(p=0.053)。

 なお、投与開始6カ月後以降は、両群ともに「HbA1c値が6.5%以上かつ最大投与量に満たない」場合は、それぞれの薬剤の単独投与を継続し、「HbA1c値が6.5%以上かつ各薬剤の最大投与量」であれば、各薬剤の最大投与量に加えてもう一方の薬剤を併用し、必要に応じて漸増することとした。その結果、単独療法を継続できた症例については、SU薬群(81例)、TZD群(74例)ともに12.5カ月後まで良好な血糖コントロールを維持していた。

 主な副作用として、SU薬群では低血糖様症状が93例中4例に、TZD群では浮腫が98例中5例に認められた。

 食事・運動療法のみで薬物療法を行っていない“drug-naive”な2型糖尿病患者を対象としたこの種の無作為化比較試験は国内で初めてであり、今回初めて得られた知見も多い。「2型糖尿病の初期薬物治療では、食事・運動療法の遵守に加え、上記の薬剤特性を考慮した薬剤選択が必要と考えられる」と貴田岡氏は結んだ。

(日経メディカル別冊編集)