あいち健康の森健康科学総合センターの津下一代氏

 特定保健指導により半年後にメタボリックシンドロームと判定される例は5割以上減少し、また具体的な減量目標として、臨床検査値に改善をもたらし、かつ対象者の多くが達成可能である点から健診時の体重から3〜5%の減量が短期的な指標として妥当と考えられることが、あいち健康の森健康科学総合センターの津下一代氏と村本あき子氏と岡山県南部健康づくりセンターの沼田健之氏が行った調査により明らかになった。5月27日から岡山市で開催された第53回日本糖尿病学会で津下氏、村本氏が発表した。

 津下氏らは、地域・職域の特定保健指導が、健康指標や医療費に及ぼす効果を検討する研究を行っており、今回、積極的支援レベル該当者を対象として、生活習慣改善支援プログラムを行い、その効果を評価した研究を相次いで発表した。

 津下氏は、保健指導プログラムを実施した683例について、6カ月後にメタボリックシンドローム判定を行い、健診時と比較した結果を発表した。

 その結果、健診時にメタボリックシンドロームと判定された例は342例だったが、6カ月後には156例で54.4%減少していた。メタボリックシンドローム予備軍も307例から238例へと減少した。

 また、ある国保の保健指導プログラムにおいて、保健指導に参加した群(56例)と対照群(108例)を比較した結果、BMIについて指導前はともに25.5kg/m2だったが、指導後は対照群が25.3kg/m2であったのに対し、保健指導参加群は23.6kg/m2へと減少。収縮期血圧は指導参加群は130.5mmHgから126.5mmHgへと減少(対照群133.9mmHg→134.7mmHg)、中性脂肪は指導参加群174.1mg/dL→122.4mg/dL(対照群160.6mg/dL→155.6mg/dL)、空腹時血糖値は指導参加群102.2mg/dL→99.6mg/dL(対照群102.5mg/dL→103.8mg/dL)と各指標も対照群に対して有意に改善していた。

 続いて発表した村本氏は、特定保健指導における具体的な減量目標を設定するために、減量がメタボリックシンドロームに関連する各臨床検査値にどのような影響を与えるのか検討した。

 調査対象は、地域や職域で実施された健診において積極的支援レベルと判定された人で、支援開始前と6カ月後に身体計測、血圧測定、血液検査を実施した932例。平均年齢は49.2±6.4歳。男性836人、女性96人だった。

 17種類の積極的支援プログラムを実施し、支援前後の臨床検査値の変化を調べたところ、生活習慣改善支援により、体重は平均2.6kg減少(健診時の体重から3.4%減少)。メタボリックシンドロームに関連する各臨床検査値も有意に改善した。体重が3〜4%減量した人は全体の約半数を占めた。5%減量した人は全体の30%、6%減量した人は約25%だった。

 対象者を体重減量率別に2%ごとに分類して、各群の臨床検査値の変化量を比較したところ、体重が減少しているほど、収縮期血圧、拡張期血圧、中性脂肪、HDL-C、LDL-C、空腹時血糖値、HbA1c、AST、ALT、γGTPが低下していく傾向にあった。

 さらに、体重減量率が-1%以上1%未満の群を対照として、検査項目別にどの群が最も変化量が大きいのか調べたところ、体重減量率が3%以上5%未満の群ではALTの変化量が有意に大きく、体重減量率が5%以上7%未満の群ではTG、HDL-C、HbA1cの変化量が有意に大きかった。また、体重減少率7%以上9%未満の群ではLDL-Cの変化量が有意に大きく、体重減量率が9%以上11%未満の群ではASTの変化量が有意に大きかった。減少率が11%以上の場合ではSBP、DBP、FPGの変化量が有意に大きかった。

 このことから、各健康指標に改善をもたらす体重減少率は、検査項目により差が見られ、支援対象者の臨床検査値異常項目によって、目標とすべき体重減少率が異なる可能性が示唆された。

 村本氏は、「健診時の体重を3〜5%減量する指導は、臨床検査値に改善をもたらし、かつ対象者の半数が達成可能であったことから、積極的支援における短期的な減量目標値として妥当ではないか」と締めくくった。

(日経メディカル別冊編集)