獨協医科大学内分泌・代謝内科の清水裕晶氏

 従来の超速効型インスリンアナログ製剤とグラルギンによる強化インスリン療法を施行されている糖尿病患者において、超速効型製剤をグルリジンに切り替えて3カ月間追跡調査したところ、7点血糖検査による血糖プロファイル、HbA1c値、体重のいずれも切り替え前後で有意な変化は認められなかったが、患者の3割が「グルリジンは、注入時の感触がより滑らか」と評価していたことが明らかになった。獨協医科大学内分泌・代謝内科の清水裕晶氏(写真)らが、第53回日本糖尿病学会年次学術集会で報告した。

 インスリン グルリジン(以下、グルリジン)は、従来の超速効型インスリンアナログ製剤と異なり、亜鉛を含有せず製剤溶液中で単量体の割合が多いため、皮下投与後、速やかに吸収されて短時間で消失することが示されている。また、グルリジンは従来の製剤と比較して、欧米の成人1型糖尿病患者における血糖改善効果は非劣性が示されているが、わが国における切り替え前後の有効性を比較した研究は少ない。

 清水氏らはこうした背景から、従来の超速効型アナログ製剤とインスリン グラルギン(以下、グラルギン)による強化インスリン療法を受けている糖尿病患者34人(1型18人、2型14人、その他2人。男性16人)を対象として、超速効型製剤をグルリジンに切り替えて3カ月間追跡調査し、その血糖改善効果ならびにデバイスの使用感を比較検討した。

 従来の製剤からグルリジンへ同単位で切り替えた。切り替えた後1カ月ごとに、7点血糖検査(朝食前、朝食2時間後、昼食前、昼食2時間後、夕食前、夕食2時間後、就寝前)の平均血糖値、体重とHbA1c値の変化をみた。また、切り替え後に新デバイスの使用感に対する患者アンケートをとり、明らかに「以前の方が良い」場合を-5、明らかに「以前より良い」場合を+5とする10段階の簡易評価スケールで患者の評価を検討した。

 その結果、7点血糖検査による血糖プロファイル、HbA1c値、体重のいずれも、切り替え前に比べて、1カ月後、2カ月後、3カ月後においても有意な変化は認められなかった。

 新デバイスの使用感に関するアンケート調査における全例の評価スケールの平均値は、「グルリジンの使用感(形態、注入時の感触など)は変更前より良いですか」という問いに対しては+0.57であり、グルリジンの評価がやや優れていた。「総合的にみて変更前よりグルリジンは良いですか」という問いに対する評価スケールの平均値も+0.66であり、既存の超速効型インスリン製剤よりも、グルリジンの方がやや評価が高かった。

 一方、「具体的にどのような感想を持ちましたか」という問いに対しては、「以前と比較して変わりない」が12例、「注入時の滑らかな感触。抵抗感が少ない」が10例、「キットが短い方が携帯しやすく使いやすい」が5例であった。なお、アンケートの全回答を通じて、グルリジンの効果に対する違和感などの意見はなかった。

 清水氏は、以上の結果を総合して、「強化インスリン療法を行っている患者において、追加インスリンをインスリン リスプロインスリン アスパルトからグルリジンへの切り替え前後で、24時間の血糖プロファイル、HbA1c値、体重に有意差はなく、その治療効果は従来のインスリン製剤と比較して、非劣性であると考えられた」と結論し、さらに「新しいデバイスとしてのグルリジンの使用感を10段階スケールで評価した結果では、切り替え後の新しいデバイスについての使用感に対する患者の違和感は少なく、スムーズに切り替え可能であることが示唆された」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)