5月27〜29日に開催された第53回日本糖尿病学会のトピックスの1つが、糖尿病学会として初めて行ったディベートセッションだ。食後血糖値は食後1時間目か2時間目か、糖尿病性腎症患者に対する厳格な低蛋白食は必要か否か、インスリン抵抗性改善にはメトホルミンかチアゾリジン系薬剤か、などといった15の疑問について2人の演者がそれぞれの立場に立って説明、議論したこのセッションは、すべてのテーマで会場に入りきらない参加者を集めるものとなった。

 ディベートセッションの皮切りとなったのが、「食後高血糖の評価時間 どちらかより適切か?:1時間 vs. 2時間?」だ。セッションでは、食後高血糖の適切な評価時間について、東京慈恵会医科大学内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科の西村理明氏と北海道大学大学院医学研究科内科学講座免疫代謝内科学分野の吉岡成人氏が、それぞれ1時間と2時間の立場でディベートを行った。

 1時間値で見るのが適切であるとの立場の西村氏は、食後血糖値と空腹時血糖値がHbA1cの上昇にそれぞれどれくらい寄与しているかを調べた研究の結果などを紹介。HbA1cが8%未満の場合に、食後血糖の方が空腹時高血糖よりもHbA1cに対する寄与度が高くなることなどを示し、「HbA1c8.0%程度までの患者では、食後1時間が血糖のピークに近く、食後1時間値を見ることが心筋梗塞や死亡率の低下のためにも重要」と主張した。

 一方、吉岡氏は、同講座の横田美紀氏が、入院している2型糖尿病の患者をランダムに抽出し、食後血糖値の推移を調べたデータを紹介。食事療法のみの患者では、食後1時間で血糖のピークに至る人が多かったのに対し、経口薬やインスリンを使用している患者では、1時間値がピークになるタイプもいれば2時間値がピークになるタイプもあったことを紹介したほか、食後1時間値は2時間値よりもばらつきが大きいこと、外来診療の現場で食後1時間値を測定することは困難である上、食後1時間値を測定し、食後高血糖に積極的に介入することにより不必要に薬剤を投与したり、低血糖を助長する可能性があることなどを挙げ、HbA1c(JDS値)6.5〜7.0%を目安に治療し、低血糖の危険を予知するために食後2時間、随時血糖測定を行うのがいいのではないかと述べた。

 会場では、アナライザーが配布され、1時間値と2時間値どちらを選択するか300人以上の参加者が回答。結果は、1時間が61%、2時間が39%だった。

(日経メディカル別冊編集)