福井県済生会病院内科の番度行弘氏

 耐糖能異常IGT)や2型糖尿病の診断において75g経口ブドウ糖負荷試験OGTT)の有用性と信頼性は高く、耐糖能異常を有する可能性の高い症例を選んでOGTTによるスクリーニングにつなげることが重要だ。福井県済生会病院内科の番度行弘氏らは、人間ドック受診者を対象とした大規模な解析から、IGTや2型糖尿病を保有する可能性が高い症例を鑑別するための空腹時血糖値のカットオフ値を検討し、第53回日本糖尿病学会年次学術集会で報告した。

 解析の対象としたのは1994年3月から2002年4月までの期間に同院の人間ドックを受診し、OGTTを施行した1万4674人。平均年齢は50.8歳、男性が77.1%を占めた。平均BMIは23.3で肥満が25.8%を占め、19.5%が高血圧、45.2%が脂質異常症を合併していた。男女ともに加齢に伴ってIGT、糖尿病の頻度が高くなっている傾向が認められた。

 空腹時血糖値(OGTT前値)の平均は96.1mg/dLで、OGTT 2時間値の平均は127.2mg/dL。糖代謝異常区分における糖尿病型と判定されたのは、825例(5.62%)だった。このうち51.8%は、空腹時血糖値は126mg/dL未満だが、OGTT 2時間値が200mg/dL以上を示したことで糖尿病と診断された。

 IGTも同様に、境界型と判定された3302例の75.0%が、空腹時血糖値は正常で、OGTT 2時間値が140mg/dL以上でIGTとされた。これらの結果は、糖尿病およびIGTの診断にはOGTTが欠かせないことを改めて示した。

 番度氏らはまず、OGTT 2時間値200mg/dLに相当する空腹時血糖値を連続変数としたROC解析を行った。その結果、2時間値200mg/dLに対応する空腹時血糖値は105mg/dL、2時間値140mg/dLに対応する空腹時血糖値は99mg/dLであることが示された。

 次に、IGTおよび2型糖尿病を1例検出するのに必要なOGTT施行数(number needed to screen:NNTS)を、対象全体、加齢(50歳以上)や肥満、高血圧、脂質異常症といった危険因子の有無で群分類して求めた。その結果、2型糖尿病のNNTSは全体では17.8人。危険因子の保有および重積によってNNTSは低下し、50歳以上、肥満、高血圧、脂質異常症の4つの危険因子をすべて有する場合は6.2人となった。

 IGTあるいは2型糖尿病のNTTSは全体で3.86人。上述の4つの危険因子すべてを有する場合は1.85人となり、OGTTを施行した2例に1例はIGTあるいは2型糖尿病と判定されることが明らかになった。さらに、男性では、NTTSがより低くなることも明らかになった。

 また、多変量回帰分析により、OGTT 2時間値を規定する因子として同定されたのは、空腹時血糖値、加齢、BMI、収縮期血圧、中性脂肪値、HDLコレステロール値。OGTT 2時間値を制御する要因は、ほかならぬメタボリックシンドロームの構成因子だった。

 今回の検討から番度氏は、IGTおよび2型糖尿病の新規発症を効率的に検出するために、「IGTでは空腹時血糖値が99mg/dL、同様に2型糖尿病では105mg/dLを診断のカットオフ値とし、50歳以上、肥満、高血圧、脂質異常症といった危険因子を保有する症例には積極的にOGTTによるスクリーニングを実施し、負荷後高血糖の有無を鑑別すべきだ」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)