順天堂大学浦安病院代謝内分泌学の佐藤淳子氏

 持効型インスリン製剤の登場によって、Basal-Bolus療法の血糖改善効果と安全性は、基礎インスリンに中間型インスリン製剤を用いた場合に比べて著しく改善した。しかし、持効型インスリン製剤に切り替えても血糖改善効果が不十分な症例も認められる。岡山市で開催されている第53回日本糖尿病学会年次学術集会では、順天堂大学医学部附属浦安病院代謝内分泌学の佐藤淳子氏(写真)が、中間型インスリン製剤から持効型インスリン製剤であるインスリンデテミルに切り替えた後、効果不十分のためインスリングラルギンに切り替えた症例の経過について報告した。

 佐藤氏らの施設ではこれまでに、超速効型インスリン製剤と中間型インスリン製剤が投与されている2型糖尿病患者を対象に、中間型インスリン製剤をインスリングラルギン(以下、グラルギン)あるいはインスリンデテミル(以下、デテミル)に切り替えて18ヵ月間追跡したJUN-LAN STUDY 1.2、DETEMIR STUDYを行ってきた。

 DETEMIR STUDYでは、対象となった104例のうち、主治医によって効果不十分と判定され、デテミルをグラルギンに変更した症例が9例認められた。今回の検討では、この9例に佐藤氏らの施設で同様のプロトコールで中間型インスリン製剤をデテミルに変更後、さらにグラルギンに変更した5例を加え、合計14例を対象として、基礎インスリンの変更による臨床的有用性が検討された。14例の内訳は男性10例、平均年齢57.2歳、糖尿病罹病歴12.6年であった。

 デテミルからグラルギンへの変更に際しては同単位を用い、投与のタイミングも同一とした。中間型インスリン製剤からデテミルへの変更時と同様に、低血糖が起こらない範囲内で、空腹時血糖値110mg/dL以下になるようにグラルギンの投与量を調節した。

 HbA1cの平均値は中間型インスリン製剤からデテミルに切り替えたときに8.1%であったが、デテミル投与中に0.2%悪化した。その後、デテミルからグラルギンに切り替えてグラルギンを12カ月投与したところ、HbA1c値は0.37%改善した。注目すべきは、HbA1cの改善が図られたにもかかわらずこの12カ月後の基礎インスリン製剤であるグラルギン、超速効型インスリン製剤の投与量が双方ともに減量できていた点である。

 また、グラルギンに変更してもHbA1c値があまり改善しない症例も認められたが、カルテの記載事項や主治医へのインタビューなどから、これらの症例では生活習慣の乱れが治療への反応性を低下させているという可能性が示唆された。

 以上の検討から、2型糖尿病患者のBasal-Bolus療法において、基礎インスリンを中間型インスリン製剤からデテミルに切り替えた症例で、デテミルを増量しても効果不十分な場合には、より早期の段階からデテミルをグラルギンに切り替えることで血糖コントロールが改善し、かつインスリン投与量を減量できる可能性が示唆された。佐藤氏は、「デテミルで効果不十分な場合には、その投与量が著しく増える前にグラルギンへの切り替えを考慮することも必要だ」と述べた。

(日経メディカル別冊編集部)