日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏

 日本糖尿病学会は年次学術集会初日の5月27日、早期診断・早期治療体制の構築など、今年から始める第2次対糖尿病戦略5カ年計画の活動目標を示した「アクションプラン2010DREAMS)」を明らかにした。

 同学会は糖尿病の総合対策事業として、2005年から対糖尿病戦略5カ年計画を進めてきたが、2002年の調査時点では740万人だった糖尿病患者が2007年には890万人と2割も増加。歯止めが利かない状態であることから、2009年になって、東京女子医科大学糖尿病センターの岩本安彦氏を委員長として、2010年から始まる第2次5カ年計画を策定した。

 第2次計画策定の背景について、日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏(東京大学教授)は、前述の患者数と予備群の増加に加え、糖尿病性腎症による透析導入が年間1万6000人に上るなど、健康寿命の短縮、関連医療費の増加、人材や疫学データの不足の4点を指摘した。「糖尿病とその関連疾患は死因の3割を占め、関連医療費は約4.7兆円と国民医療費の約15%を占める」と危機感をあらわにする。

 アクションプラン2010のキャッチフレーズであるDREAMSは、(1)早期診断・早期治療体制の構築(Diagnosis and Care)、(2)研究推進と人材育成(Research to Cure)、(3)エビデンス構築とその普及(Evidence for Optimum Care)、(4)国際連携の推進(Alliance for Diabetes)、(5)予防の促進(Mentoring Program for Prevention)、(6)糖尿病の抑制(Stop the DM)の6項目から成る。「このDREAMSを“Come True”ということでぜひ実現したい」(門脇氏)と述べる。

 中でも糖尿病学会が最も意欲を示すのが、早期診断・早期治療体制の構築だ。糖尿病の診断基準の11年ぶりの改訂もその一環で、HbA1c値を血糖値と同格の位置付けとし、日常診療や検診での迅速な早期診断につなげる。

 国家的な対策とするためには、地域における検診・治療体制の普及が不可欠であるため、同学会では、行政や医師会などとの協力による職域・地域の診療ネットワーク構築と、全国の1次医療圏ごとに糖尿病専門医を1人以上確保する「専門医の適正な増加」を目指す。

 これらの対策により、5カ年計画が終了後の2015年には、糖尿病患者数を減少に転じさせ、糖尿病関連死亡者数を現時点より減らす狙いだ。門脇氏は、「1万6000人を超える会員にこの内容を伝え、学会の活動目標として推進するとともに、メディアを通じて広く国民を啓発したい」と訴えた。

(日経メディカル別冊編集部)