第53回日本糖尿病学会会長の加来浩平氏

 第53回日本糖尿病学会年次学術集会が5月27日、岡山市で開幕した。発表演題は過去最大規模の2047題(一般演題1872題、海外招待演者49人)にのぼる予定で、5月29日までの3日間で1万人以上の参加が見込まれている。

 今大会のテーマは「革新する糖尿病学−予防と治癒へのあくなき挑戦」。大会会長の加来浩平氏(川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授)は、27日午前の会長講演において、「“pandemic disease”と言われる糖尿病の制御は不可能なのだろうか? 現在の優先課題は優れた予防戦略の構築だが、その先に離脱・治療戦略が見えてくるというメッセージを込めた」と語り、このテーマを掲げた背景を説明した。

診断基準改訂、HbA1c値の国際標準化で協力求める
 今大会の大きな話題の1つである糖尿病の新しい診断基準については、27日午後のシンポジウム「日本人糖尿病の新診断基準をめぐって」で解説が行われた。

 学会の「糖尿病診断基準に関する調査検討委員会」委員長の清野裕氏(関西電力病院院長)は、シンポジウムに先立って、午前の総会でも新診断基準について報告。HbA1cを基準に加えた意義を改めて説明するとともに、新診断基準の施行を今年7月1日からとすることを示した。

 懸案となっていたHbA1c値の国際標準化についても、「糖尿病関連検査の標準化に関する委員会」(柏木厚典委員長)の検討結果を基に、英文学術誌への投稿や国際学会における発表では、今年7月1日から国際標準化された新しいHbA1c値を使うことという学会の方針が示された。

 臨床現場や検診、健康診断においては、混乱を避けるために現行のHbA1c値を継続して使うが、並行してHbA1c値の国際標準化についての広報に努め、全国一斉に新しいHbA1c値に切り替える日を学会として改めて告示することとなった。

 清野氏は「診断基準とHbA1c値の国際標準化は別の話であることをしっかりと把握してもらいたい」と強調し、「新しい診断基準の普及、HbA1c値の移行が臨床現場でスムーズに行われるよう協力してほしい」と糖尿病の専門家である学会員に訴えた。

 大会2日目の28日以降は、「食後高血糖の評価時間、どちらがより適切か:1時間 vs. 2時間?」などの15テーマでDebate Sessionが企画されている。話題の新薬であるインクレチン関連薬についても、基礎と臨床、2つのシンポジウムが行われる。

(日経メディカル別冊編集)