公立陶生病院薬剤部の後藤俊晃氏

 公立陶生病院(愛知県瀬戸市)では、第一世代SU薬のグリベンクラミドによる重症低血糖が多数発生していることを受け、最近、同薬を使用しない方針を打ち出した。これに伴い、グリベンクラミドから第三世代SU薬のグリメピリドに切り替えた2型糖尿病患者77例の経過を3カ月以上観察した結果、重症低血糖を1例も認めることなく、HbA1cの改善が得られたことが分かった。同院薬剤部の後藤俊晃氏(写真)が5月24日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会のポスターセッションで報告した。

2007年5月〜2008年5月に同院救急外来を受診し、入院となった重症低血糖発作例のうち、SU薬が原因であった症例は29例、そのうちの18例(62%)がグリベンクラミドが原因と考えられた症例だった。グリベンクラミドについては、ADA/EASD(米国糖尿病協会/欧州糖尿病研究協会)による2型糖尿病治療に関するアルゴリズムで、クロルプロパミドとともに、低血糖のリスクが高いことが指摘され、他のSU薬の使用が望ましいとされている。こうした状況を踏まえ、同院では最近、グリベンクラミドの使用中止を決定した。決定に伴い、これまでグリベンクラミドを使用していた症例に対し、グリメピリドなどへの切り替えを開始した。今回、グリメピリドに切り替え、3カ月以上経過した症例で、その有効性と安全性を検討したという。

 対象は、2007年5月〜2008年5月に同院を受診し、グリベンクラミドを処方されていた199例のうち、グリメピリドに切り替えられた2型糖尿病患者77例(男性48例、女性29例、平均年齢68.9歳)。グリメピリドへの切り替えと同時にSU薬以外の血糖降下薬が変更となった症例は、含まれていない。切り替え時のBMIは平均22.3kg/m2。HbA1cは平均7.1%で、7%未満が52%を占めていた。

 切り替え前のグリベンクラミド投与量は平均3.4mg。グリベンクラミド2.5mgに対してグリメピリド3.0mgの比率で切り替えを行ったが、切り替え後の平均グリメピリド投与量は3.2mgで、グリベンクラミド投与量とほぼ同等であった。

 平均HbA1cの推移を、切り替え前のHbA1c値により3群に分けて検討したところ、7.0%以上8.0%未満であった群および8.0%以上であった群において、切り替え前に比べ、切り替え3ヶ月以降で有意な低下が認められた。HbA1cの変化は、切り替え前のBMI値とは関連しなかった。また、切り替え後の平均BMIには有意な変化が見られなかった。入院を必要とする重症低血糖は1例も発生しなかった。

 後藤氏は「グリメピリドはグリベンクラミドとほぼ同量で2型糖尿病患者のHbA1cを、体重増加や重篤な低血糖を起こすことなく改善させることが示唆された」と結論。機序に関しては「グリメピリドのインスリン分泌促進作用がグリベンクラミドと比べて軽微で、より短時間であること、重篤な低血糖発作を起こさず、体重増加もなかったことから、インスリン抵抗性を改善する膵外作用によるものと考えられる」と述べた。
(高橋義彦=医学ライター)