糖尿病患者の足病変チェックの重要性は認識していても、日常診療ではなかなか余裕がない。多忙で、マンパワーも十分でない外来で、足の異常をいかにチェックすべきか――。かなもり内科(神奈川県相模原市)の金森晃氏は5月23日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会のワークショップ「フットケアをめぐって」の中で、自院および他施設の工夫を紹介。糖尿病外来における足病変のスクリーニングの重要性を訴えた。

かなもり内科の金森晃氏

 糖尿病・甲状腺疾患専門クリニックであるかなもり内科では、毎週月曜と金曜の午前、医師(金森氏)の診察の前に患者の任意で体脂肪率の測定を行っている。金森氏はこのタイミングを足のチェックのよい機会と捉え、裸足になった“ついで”に、看護師に足の病変の有無を観察してもらっているという。合わせて、アキレス腱反射と振動覚検査、神経障害や間欠性跛行に関する問診も行っている。

 2007年10月から08年9月の1年の実績をみると、この方法で実際に足病変をスクリーニングできたのは、同院に定期的に通院する患者約1500人の3割ほどに当たる439人。この439人のうち、何らかの足異常を認めたのは321人(73%)にのぼった。

 足の異常で最も多かったのは皮膚の乾燥(214人、49%)で、白癬(73人、17%)、胼胝・鶏眼(40人、9%)なども目立った。「今後確認を進めるが、乾燥の中には(糖尿病患者で多いことを以前に確認している)角質増殖型の白癬が相当数含まれているのではないかと思われる」と金森氏は注意を呼びかけた。

 アキレス腱反射および振動覚検査を施行できたのは237人。そのうち、振動覚検査「10秒以下」およびアキレス腱反射「陰性」となったのは67例(28.3%)だった。間欠性跛行は10人で確認し、いずれも閉塞性動脈硬化症の治療中だった。

 金森氏は、神奈川県の糖尿病専門医にアンケートして得られた27施設(18診療所、9病院)における糖尿病患者の足病変スクリーニングの現状も紹介。足の診察や神経障害のチェックは8〜9割の施設が行っているものの、胼胝の処置や爪切りなどのケアについてはマンパワーの事情などによって実施するレベルが異なることを示した。

 足の異常をチェックするための工夫も聴取すると、かなもり内科と同様に「体脂肪率測定のとき」という回答のほか、「心電図やABI検査のとき」「初診時に裸足で入室してもらう」「年に1回、誕生月などと決めて診察」「ハイリスク患者に絞って待ち時間にスタッフがチェック」といった回答が寄せられた。

 「足壊疽の予防・治療の第一歩は見ること。多忙、マンパワー不足という状況でも、多くの患者の足をチェックするための工夫が求められる」と金森氏は最後に強調した。