順天堂大学代謝内分泌学の鴫原奈弓氏

 混合型インスリン製剤1日2回注射法で良好な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対して、SU薬グリメピリドと持効型インスリン製剤インスリングラルギングラルギン)を併用するBOT(Basal supported Oral Therapy)に切り替えたところ、ほぼ半数の症例で、低血糖を増加させることなく改善が認められたという成績(JUN-LAN Study 8)が、5月23日の第52回日本糖尿病学会年次学術集会、一般口演において順天堂大学代謝内分泌学の鴫原奈弓氏より報告された。

 混合型インスリン製剤の1日2回注射法は広く行われているが、低血糖の回避とインスリン増量の管理が難しく、十分な血糖コントロールが得られない患者も少なくない。このような症例に対しては、インスリン頻回注射への切り替え、あるいは昼食時の超速効型インスリン投与の追加といった方法が考慮される。しかし、頻回注射法は外来診療下での変更が難しい。また、超速効型インスリン投与の追加も、コンプライアンス不良などの問題があり、継続するのは容易ではない。

 これらの課題を解決するために、鴫原氏らはBOTへの切り替えを検討した。対象は、混合型インスリン製剤1日2回注射法を受けているが、過去6か月間HbA1c 7.0%以上の状態が続いている2型糖尿病患者21例(男性13例、女性8例)で、平均年齢62.5歳、平均BMI 26.3kg/m2、平均糖尿病罹患期間12.9年である。BOTへの切り替え前の混合型インスリン製剤1日投与量は平均28.0単位、切り替え時のHbA1cは平均8.3%だった。

 BOTは、混合型インスリン製剤1日投与量の約70%に相当する量から開始するグラルギン1日1回注射と、グリメピリド1〜3mgの朝食前内服を併用する形で24週間継続した。グラルギン投与量は、早朝空腹時血糖が100mg/dL前後になるように調整。24週間後のグラルギン平均投与量は、混合型インスリン製剤1日投与量の84%に相当する量まで有意に増加した。観察期間中のグラルギン平均投与量は23.0単位、グリメピリドは1.7mgだった。

 切り替え後の平均HbA1cの推移を見ると、切り替え時の8.3%から24週間後には7.7%へと有意に低下、平均空腹時血糖も155.1mg/dLから120.6mg/dLへ有意に低下した。HbA1cの改善(0.4%以上の低下)は、2%以上低下した3例を含む10例(47.6%)で認められた。残る11例中7例(33.3%)は不変(±0.3%)、4例(19.0%)は増悪(0.5〜1.0%上昇)した。改善例、非改善例の背景を比較すると、切り替え時のBMIが26kg/m2以上の症例でHbA1cの有意な低下が認められることが明らかになった。

 低血糖頻度は、21例中16例(76.2%)では増加が見られず、増加した症例でもグリメピリドの減量により出現しなくなった。平均体重は観察期間中、有意な変化を示さなかった。

 以上の結果から、鴫原氏は「混合型製剤2回打ちでコントロール不良な症例に対して、グリメピリドを併用したグラルギン投与への切り替えは安全で、有効性も認められた」と結論した。BOTへの切り替えが有効であったのはほぼ半数であった。残るほぼ半数の症例にはどう対処すべきか、鴫原氏らは、超速効型インスリンの投与回数を段階的に増やしていく方法(Basal plus法)を検討しており、すでにその有効性を確認している。
(高橋義彦=医学ライター)