大阪大学大学院内分泌・代謝内科の大月道夫氏

 SU薬のグリメピリドを長期投与している症例で血糖コントロールを維持できた症例は、そうでない症例に比べて、投与開始時の年齢、BMI、HbA1cや開始後のビグアナイド薬併用率といった点で有意に異なっていることが分かった。大阪大学大学院内分泌・代謝内科の大月道夫氏(写真)らが5月23日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の一般口演で報告した。

 第三世代SU薬に分類されるグリメピリドは、第一世代、第二世代のSU薬に比べ、膵外作用(インスリン抵抗性改善作用)が強い、低血糖が少ない、などの特徴を持つことが示唆されている。現在、わが国の糖尿病臨床において最も広く使用されているSU薬で、その臨床効果に関しては多数の報告がある。しかし、長期投与の成績に関する検討は、多くはない。

 大月氏らは、グリメピリドを長期投与した2型糖尿病患者のうち、良好な血糖コントロールを維持できた群(良好群)とそうでない群(非良好群)に分け、その臨床的特徴を明らかにする検討を行った。対象は、2000〜2002年にグリメピリド投与が開始された2型糖尿病患者のうち、2006年まで経過観察が可能であった42例(男性27例、女性15例)。平均年齢61歳、平均罹病期間9.8年、平均BMI 23.7kg/m2、平均HbA1c 8.0%。グリメピリド投与開始前の糖尿病治療薬は、なし40%、1剤29%、2剤29%、3剤2%。治療薬の種類はSU薬(33%)、α-グルコシダーゼ阻害薬(31%)、グリニド(11%)などだった。

 対象42例のうち、2006年の最終評価時のHbA1cが8.0%未満であった症例は25例(60%)であった。この25例を「8%未満群」、最終評価時に8.0%以上であった5例と血糖コントロール悪化によりグリメピリド投与中止となった8例を合わせた13例を「8%以上・悪化中止群」とし、両群の臨床背景を比較した。

 グリメピリド投与開始時から最終評価時までの観察期間は平均5.8年。「8%未満群」では投与開始時と最終評価時の投与量に有意差はなかったが、「8%以上・悪化中止群」では増加傾向が見られた。HbA1cは、「8%未満群」では試験開始時のHbA1cが7.7±1.2は最終評価時に6.8±0.6と有意(p=0.001)に低下していたが、「8%以上・悪化中止群」では試験開始時のHbA1c(8.6±1.2)が最終評価時9.0±0.6とわずかに上昇する傾向が認められた(p=0.57)。体重は両群ともに有意な変化はなかった。

 まず、投与開始時における臨床背景を両群で比較すると、「8%未満群」では「8%以上・悪化中止群」に比べ、有意に年齢が高く、BMIが低く、HbA1cが低かった。糖尿病の罹病期間や各合併症の発症率には有意差がなかった。グリメピリド投与開始前の糖尿病治療薬にも有意差は見られなかった。

 最終評価時の併用薬数は、「8%未満群」では「8%以上・悪化中止群」と異なり、併用薬剤数がグリメピリド投与開始時に比して有意に増えていた。併用薬の種類を見ると、「8%未満群」では最終評価時におけるビグアナイド薬の併用率が48%と高く、4%だった投与開始時との間で有意な差が認められた。「8%以上・悪化中止群」でもビグアナイド薬の併用率は上昇していたが、有意な変化ではなかった。

 以上の結果から、大月氏は「グリメピリドの投与開始後、60%の症例で長期間血糖コントロールが維持できることが明らかとなった。グリメピリドの長期にわたる有効性には、投与開始時の年齢、BMI、HbA1cおよび投与開始後のビグアナイド薬併用などの因子が関与することが示唆された」と結論した。
(高橋義彦=医学ライター)