順天堂大学内科学代謝内分泌学講座の江波戸千恵氏

 SU薬による治療では血糖コントロール不良の患者に対しインスリン治療を開始する際、SU薬を急に中止すると血糖コントロールが悪化することがある。これに対し、SU薬を継続しながらインスリン導入を図る方法が有用であることが分かった。順天堂大学内科学代謝内分泌学講座の江波戸千恵氏(写真)らが5月22日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の一般口演で発表した。

 江波戸氏らは、グリメピリド、グリクラジド、グリベンクラミドといった薬剤をまずグリメピリドに統一、その後混合型インスリンアナログ製剤の二相性インスリンアスパルト-30 1日1回注射を開始した。16日間グリメピリドを継続しながらインスリン注射量を調節した後、1日2回注射への変更を行った。同時にグリメピリドは継続群と中止群に分け、各群のHbA1c値や血糖値などを比較した。

 グリメピリド継続群は12人、中止群は14人だった。各群の年齢性別、糖尿病罹病期間、HbA1c値などに有意差はなかった。HbA1c値の推移をみたところ、中止群では継続群に比べ、8週(p<0.05)、16週(p<0.05)、24週(p<0.01)と明らかな増悪がみられた。食前血糖値についても、朝食前(p<0.01)、夕食前(p<0.05)と有意に悪化した。インスリン必要量も増加していた(p<0.01)。一方、低血糖の発現頻度、体重変化については両群とも差はなく、重篤な高血糖の発生は両群ともに見られなかった。

 江波戸氏は、「十分なインスリン増量を行えば、中止群でも血糖コントロールが良好に保たれた可能性はあるが、実際に外来で急激なインスリン増量を行うことは難しい。インスリン導入の際には、SU薬の投与を継続した方が良好な血糖コントロールが得られると考える」と述べた。