東京医科大学糖尿病代謝内分泌内科の三輪隆氏

 軽症2型糖尿病患者に対してグリメピリドの少量投与を6カ月間行ったところ、目標としたHbA1c 6.5%未満を81%の症例で達成できたという成績が、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の一般口演において、東京医科大学糖尿病代謝内分泌内科の三輪隆氏より明らかにされた。目標達成率は、速効型インスリン分泌促進薬のナテグリニドに比べて有意に高かった。

 2型糖尿病患者の大血管障害を予防するためには、軽症の段階から厳格な血糖コントロールを開始する必要があるといわれている。軽症2型糖尿病の治療では現在、α-グルコシダーゼ阻害薬や速効型インスリン分泌促進薬が用いられることが多いが、いずれも毎食直前に服用する必要があり、コンプライアンスが不良になる傾向が指摘されている。一方、SU薬は従来のように軽症2型糖尿病に対して広く使用されることがなくなったが、第三世代と呼ばれるグリメピリドに関しては、その少量投与が軽症2型糖尿病の治療に有用である可能性が示唆されている。また、従来のSU薬では、厳格な血糖コントロールを行った場合に低血糖が起こり、治療困難となる症例が少なくなかったが、グリメピリドでは低血糖が起きにくいとする報告もある。

 三輪氏らは今回、軽症2型糖尿病患者に対するグリメピリドと速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニドの効果と安全性を、多施設共同前向き試験により検討した。

 対象は、経口血糖降下薬あるいはインスリン製剤未使用で、投与開始直前のHbA1cが6.5%以上8.0%未満、かつ3カ月以内の変動幅が1%未満と安定している30〜79歳の外来通院2型糖尿病患者。無作為にグリメピリド投与群とナテグリニド投与群に分け、HbA1cの変化度を評価項目として6カ月にわたり観察を続けた。

 両群におけるグリメピリド、ナテグリニドの投与量は、4週、8週、12週の空腹時血糖(FPG)とHbA1cを参考に、各主治医がHbA1c 6.5未満を達成するよう投与量を調節した。グリメピリドは、少量の0.5mg/日または1mg/日より投与開始し、最大投与量は6mg/日とした。ナテグリニドは90mg/日または270mg/日より開始し、最大投与量は360mg/日とした。

 72例が登録され、うち52例で安全性、48例で有効性が検討された。投与開始時のHbA1cの平均は2群とも7.1%。その他の患者背景にも有意差はなかった。平均投与量はグリメピリドが1mg/日前後、ナテグリニドがほぼ250〜260mg/日で推移していた。

 まず、従来のSU薬で指摘されていた体重増加について検討したところ、BMIは両群とも有意な変化が見られなかった。FPGは、投与前に比べ6カ月後に両群とも約20mg/dLの有意な低下が認められたが、両群間では有意差はなかった。

 HbA1cについては、グリメピリド群では1カ月後から、ナテグリニド群では2カ月後から、投与前に比べて有意な低下が認められた。投与6カ月後のHbA1cはグリメピリド群6.2%(−0.9%)、ナテグリニド群6.5%(−0.6%)と、有意差はなかった。しかし、6カ月後に目標であるHbA1c 6.5%未満を達成した症例の割合はグリメピリド群81%、ナテグリニド群52%で、改善率はグリメピリド群において有意に高かった。副作用は、低血糖を含めて両群とも認められなかったという。

 三輪氏は、HbA1cが6.5%以上8.0%未満の軽症2型糖尿病患者においては、グリメピリドを少量から投与開始することにより、安全かつ6カ月という短期間で血糖コントロールを改善できることが示唆された、と結んでいる。
(高橋義彦=医学ライター)