正名会池田病院の井田健一氏

 2型糖尿病インスリン治療SU薬であるグリメピリドを併用すると、内因性のインスリン分泌が促進され、インスリン投与量を大きく減らすことができることが分かった。糖尿病学会認定教育施設である正名会池田病院(兵庫県尼崎市)が数年前から続けている前向き研究「Ikeda Study」の最新解析結果から明らかになったもので、同院の井田健一氏が5月22日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の一般口演において報告した。

 インスリン治療を行っても、良好な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者は少なくない。2型糖尿病に対するインスリン治療では一般に、混合型インスリンの1日2回注射法が選択されるが、それが奏効しない場合には頻回注射法が考慮される。しかし、頻回注射法は患者の負担が大きく、実際には続けられないことが多い。このような場合の次の一手となり得るのがSU薬との併用だ。

 同院では、2型糖尿病に対するインスリン単独療法とインスリン+グリメピリド併用療法の有用性などを比較検討する前向き研究を行ってきた。初回入院時にインスリン治療を開始した未治療の2型糖尿病患者を無作為に2群に分け、一方にはインスリン単独療法(混合型インスリン朝夕2回投与、投与量は適宜増減)を続け、他方にはインスリン+グリメピリド(1日2mg朝夕分2投与)併用療法を行い、退院前、退院後3カ月、1年後の血糖日内変動、尿中CPRなどの変化を比較した。対象は、同院に入院し初めてインスリン治療を開始した未治療の2型糖尿病患者で、2007年12月までに64例が登録、各群32例に無作為に割り付けられた。

 これまでの報告では、(1)グリメピリド併用療法によって医療費が高くなることはない、(2)患者満足度は、グリメピリド併用療法群の方が高い(インスリン投与量が有意に減少しているため)、などが示されている。

 今回は、併用療法群32例のうち、インスリン単独療法施行時とグリメピリド併用療法への変更後の血糖日内変動検査の際に、全時刻において内因性インスリンを反映する血中CPR、IRI値の検査を行った10例を対象に、併用療法への変更前後の血中インスリン動態などの変化について検討した。10例の背景は平均で、年齢63.1歳、体重66.4kg、BMI 24.5kg/m2、罹病期間2.5年、初診時HbA1c 10.3%、尿中CPR 125.7μg/日。インスリン単独治療時の投与量は、平均24.3単位/日である。

グリメピリド併用療法への変更前後で、平均血糖値は130.8mg/dLから110.6mg/dLへと有意に低下、インスリン投与量も有意に減少した。血中CPRは、グリメピリドの投与により有意に上昇し、血中インスリン濃度の総和は有意に低下した。さらに、食後の平均血糖、平均血中インスリン濃度の有意な低下も認められ、グリメピリドの併用は食後高血糖や高インスリン血症に対する改善効果も期待できる可能性が示唆された。

 井田氏は、「インスリンとグリメピリドの併用による食後高血糖や高インスリン血症の是正が、動脈硬化の進展予防につながるのか、今後検討したい」と講演を結んだ。
(高橋義彦=医学ライター)