坂出市立病院糖尿病内科の大工原裕之氏

 混合型インスリン1日2回投与血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者の治療を、持効型インスリン製剤インスリングラルギン1日1回+SU薬グリメピリド少量+ビグアナイド薬メトホルミンの併用療法に切り替えたところ、3分の2の症例で目標とした「HbA1c 6.9%以下」を達成できたという報告があった。その成果について、坂出市立病院(香川県坂出市)糖尿病内科の大工原裕之氏(写真)が5月22日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の一般口演で発表した。

 混合型インスリンの朝夕2回投与は、2型糖尿病に対するインスリン療法として広く行われている。しかし、朝食後あるいは昼食前や明け方などに低血糖を起こすことが多く、積極的なインスリン増量が困難となるために血糖を十分コントロールできない患者が少なくない。このような症例に対する治療法としては、頻回注射によるインスリン強化療法が考えられるが、患者への負担が大きく、拒否されることも多い。

 大工原氏らは、混合型インスリン1日2回投与の効果が不十分な2型糖尿病患者に対して、外来診療下で持効型インスリンと経口糖尿病薬の併用療法を試みており、今回、その有効性、安全性を検討した結果を報告した。

 対象は、食事・運動療法に努め、かつ混合型インスリン1日2回投与を受けても、HbA1cが7.0%以上である2型糖尿病患者88例(男性46例、女性42例)。平均年齢56.2歳、BMI 24.8kg/m2、糖尿病罹病期間10.7年。併用療法への切り替え前の混合型インスリン投与量は平均24.5単位であった。

 これらの症例に対して、インスリングラルギンを、混合型インスリンの朝晩合計単位数の80%に相当する用量から開始。翌日朝食前の空腹時血糖値が110mg/dL未満になるように徐々に用量を増やした。一定の投与時間帯は決めなかった。さらに、グリメピリド少量0.5〜3.0mg/日、メトホルミン250〜750mg/日を投与した。

 併用療法への切り替え前と16週間後で、朝食前の平均空腹時血糖は144mg/dLから113mg/dLへと有意に低下(p<0.001)。平均HbA1cも7.5%から6.7%へ有意に低下(p<0.005)し、88例中56例(64%)で6.9%以下を達成できた。低血糖を起こした症例の割合は43%から15%に低下。しかも、低血糖が起こっても、その質が変わり「ゆっくり来る」「倒れない」「自分で対処できる」などと表現する患者が多く見られた。

 以上より、インスリングラルギン1日1回+少量グリメピリド+メトホルミン併用療法は、混合型インスリン1日2回投与で血糖コントロール不良の2型糖尿病に対して有効かつ安全な治療法と考えられたという。

およそ3分の2の症例で目標のHbA1cを達成できたわけだが、大工原氏らはさらに、達成できなかった症例に対する治療法も検討している。まず、インスリングラルギンの注射と同時に、超速効型インスリンを1日1回注射する治療を追加したころ、目標HbA1c 6.9%以下を達成できなかった32例中15例(47%)で達成し得た。

 それでも達成できなかった症例には、超速効型インスリン1日2回、朝食前と夕食前の投与を追加した。混合型インスリン投与はもともと朝晩2回であったため、患者には容易に受け入れてもらうことができたという。この治療法により、11例(34%)でHbA1c 6.9%以下を達成できた。つまり、インスリングラルギン1日1回+少量グリメピリド+メトホルミン併用療法と、症例によって超速効型インスリン注射を1〜2回/日追加することにより、最終的に88例中82例(93%)で目標HbA1cを達成できたことになる。
(高橋義彦=医学ライター)