札幌医科大学内科学第二講座の大西浩文氏

 血糖値と2型糖尿病発症との関連をみたところ、空腹時血糖値が100〜109mg/dLの正常高値の場合、糖尿病の発症リスクが正常値の6.42倍になることが分かった。札幌医科大学内科学第二講座大西浩文氏(写真)が5月22日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の「糖尿病と心血管障害〜疫学調査結果をいかに予防に生かすか」と題したシンポジウムの中で発表した。

 これは北海道で30年以上継続されている端野・壮瞥町研究の一部で、1991、1992年の健診受診者のうち糖尿病患者を除いた1830人を最大16年間追跡した結果、明らかになった。空腹時血糖値が90mg/dL未満の正常値に比べ、90〜99mg/dLでは2.20倍、100〜109mg/dLでは6.42倍、110〜125mg/dLでは14.78倍、それぞれ糖尿病の発症リスクが高まった(いずれもp<0.0001)。

 追跡期間を5年、10年、15年と区切ってみても、100〜109mg/dLの正常高値では、5年で6.76倍、10年で6.96倍と、早期から糖尿病の発症リスクが高かった。「10年、15年追跡した結果をみると、空腹時血糖値90〜99mg/dLでも糖尿病発症リスクが高まってくる。血糖値が低ければ低いほど糖尿病のリスクは低下するという結論が得られた」と大西氏は話した。

 また、腹部肥満と2型糖尿病発症の関連をみたところ、健診初年度に腹部肥満があると、なかった場合に比べ2.59倍、糖尿病を発症しやすいことも明らかになった(p<0.001)。メタボリックシンドロームとの関連についても、初年度にメタボリックシンドロームだった場合には、糖尿病発症リスクが4.89倍も高まった。これは、血糖値との関連を差し引いても同様の結果が得られたという。

 「血圧高値や脂質異常に基づくメタボリックシンドロームへの介入も、糖尿病予防という観点から重要と考える。なお、腹部肥満がなくても、高血圧や血糖高値、コレステロール値などの異常が複数ある場合には、2型糖尿病発症リスクが高まるという結果も出ている。現在の特定健診では、糖尿病予備軍を完全には拾いきれていない可能性を念頭に置いておいてほしい」と大西氏はまとめた。