強化インスリン療法においては、中間型インスリンNPH)の就寝前投与が広く行われてきたが、SU薬がNPHの代替となり得る症例が存在することが報告された。近畿大学内分泌・代謝・糖尿病内科村田佳織氏が、第52回日本糖尿病学会年次学術集会2日目の5月22日、一般口演で発表した。

 村田氏らは、夜間血糖調節で重要な役割を果たす門脈内インスリンに注目。門脈内インスリンを増加させるSU薬を就寝前に投与すれば、NPHの代替になるのではないかと考えた。そこで、強化インスリン療法を実施している入院中の2型糖尿病患者64人(男性25人、女性39人、平均年齢64.9歳)を対象に、以下の研究を行った。

 血糖コントロール目標は、(1)就寝前血糖値140mg/dL未満かつ午前3時血糖値70mg/dL以上、(2)就寝前血糖値と朝食前血糖値の差が50mg/dL未満――をともに満たすと定めた。血糖コントロールが安定した患者の就寝前NPHをグリメピリドに変更、その後血糖コントロールが安定するまで増減を行った。グリメピリドの初期投与量は、投与していたNPHが8単位未満であれば0.5mg、8単位以上16単位未満であれば1mg、16単位以上であれば2mgとした。NPH投与時とグリメピリド投与時で、血糖値の日内変動などを計測し違いを調べた。

 空腹時血糖値は、NPH投与時の平均134mg/dLが、グリメピリド投与時には平均120mg/dLへと低下した(p<0.005)。夜間血糖値の変動も、NPHが34.8mg/dL低下したのに対し、グリメピリドでは20.1mg/dL低下に留まった(p<0.05)。

 村田氏は「何例かNPHに戻した患者もいたが、就寝前NPHを少量のグリメピリドに変更できる可能性が示された。退院後の患者を対象に外来で2年間追跡調査を行ったところ、HbA1c値の変化に両群で差はなかった。今後、個々の患者に合わせて両者を選択していきたい」と結んだ。