徳島大学循環器内科の仁木敏之氏

 ストロングスタチンを服用している安定狭心症患者にエイコサペンタエン酸EPA)製剤を追加投与すると、冠動脈頸動脈プラークにおける脂質成分が減少するとともに線維成分が増加し、プラークの安定化がもたらされる可能性が示された。徳島大学循環器内科の仁木敏之氏らが、3月17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で報告した。

 近年、組織性状の評価が可能なintegrated backscatter(IB)法を血管内超音波検査(IVUS)に応用したIB-IVUSにより、冠動脈プラークの組成を石灰化成分、繊維成分、密繊維成分、脂質成分に分けて定量的に測定できるようになった。さらに、同氏らの研究グループは非侵襲的な動脈硬化の評価法である頸動脈エコーにIB法を応用した「iPlaque」と呼ぶ技術を開発している。今回は、IB-IVUSとiPlaqueを用いて、EPA製剤の追加投与による冠動脈および頸動脈プラークへの影響を検討した。

 対象は、冠動脈造影などで1〜2枝に75%以上の狭窄が認められ、経皮的冠動脈インターベンションPCI)によりベアメタルステントを留置した安定狭心症患者で、さらに20歳以上85歳未満、ストロングスタチンを既に6カ月以上服用しているといった条件を満たす患者とした。一方、除外基準は脳卒中発症から6カ月以内、左室駆出率が40%以下、出血や消化性潰瘍がある、透析中などとした。

 これらの条件を満たした14例を、EPAを1800mg/日追加投与する群(EPA群、6例)と追加投与しない群(対照群、8例)に無作為に割り付けた(追加投与はPCI施行後3日以内に開始)。患者背景に関しては、血圧値や各種血清脂質値、空腹時血糖値、合併症、喫煙率、処方薬に両群間で有意差はなかった。

 PCI施行時と施行6カ月後に、冠動脈プラークをIB-IVUSで、頸動脈プラークをiPlaqueでそれぞれ観察するとともに、各種の炎症性サイトカイン(IL-6、IP-10、MMP3、MMP9、TNF-α、hsCRP、PTX3)の血中濃度を測定した。

 HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライド、空腹時血糖、血圧のいずれにおいても、両群ともベースラインから6カ月後にかけて有意な増減は認められなかった。一方、血中のEPAとアラキドン酸(AA)の比であるEPA/AA比については、EPA群では有意(P=0.0001)に上昇していたが、対照群では有意な変化は認められなかった。

 頸動脈プラークをiPlaqueで評価したところ、脂質成分の面積はEPA群で有意(P<0.05)に減少していたが、対照群では有意な変化はなかった。一方、線維成分の面積はEPA群で有意(P<0.05)に増加していたが、対照群では有意差は認められなかった。

 同様に、冠動脈プラークをIB-IVUSで評価したところ、脂質成分の体積はEPA群で有意に(P<0.05)少なくなっていたが、対照群では有意な増減はなかった。一方、線維成分の体積はEPA群で有意(P<0.05)に増えていたが、対照群では有意な差はなかった。

 炎症性サイトカインの経時的変化については、EPA群においてIP-10の有意(P<0.05)な低下が見られ、PTX3もEPA群で減少する傾向が見られた(P=0.06)。しかし、これ以外は有意な変化が認められなかった。

 こうした結果を踏まえ仁木氏は、「ストロングスタチンにEPA製剤を追加することで抗炎症作用が増強し、冠動脈および頸動脈における動脈硬化病変の組織性状がさらに変化することが示唆された。それに伴い、プラークの安定化がもたらされている可能性が考えられる」とまとめた。