愛知医科大学総合診療科の脇田嘉登氏

 糖代謝異常(糖尿病、糖代謝異常[IGT]、空腹時血糖異常[IFG])を合併している狭心症患者において、ストロングスタチンエイコサペンタエン酸(EPA)を併用すると、冠動脈プラークがより退縮することが示された。愛知医科大学総合診療科の脇田嘉登氏らが血管内超音波検査(IVUS)を用いて冠動脈プラーク体積(coronary plaque volume:CPV)の変化を検討し、その成果を3月17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で報告した。

 対象は糖代謝異常を伴う狭心症患者42例(平均年齢72歳)。なお、急性心筋梗塞の既往者は対象から除外した。全例にピタバスタチンを2mg/日投与した上で、EPAを1800mg/日投与する群(投与群、23例)と投与しない群(非投与群、19例)に無作為に割り付けた。

 IVUSは経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行日およびフォローアップ時(平均7カ月後)に施行した。CPVの評価では、明らかなプラークがある部位を抽出し、臨床的に有意狭窄の部位は対象から外した。また以前に冠動脈バイパス術(CAGB)あるいはPCIが施行されている部位は除外した。

 ベースライン時の患者背景については、年齢、男性比率、BMI、心筋梗塞の既往歴、冠動脈病変の部位、高血圧の合併率、喫煙率などで両群間に有意な差はなかった。アスピリンやβ遮断薬、Ca拮抗薬、RA系阻害薬、経口血糖降下薬、インスリンといったベースライン時の薬剤処方率は、いずれも群間差は認められなかった。

 LDLコレステロール(LDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(TG)、HbA1cについては、ベースライン時とフォローアップ時のいずれにおいても、両群間に有意差はなかった。

 血中脂肪酸に関しては、EPAはベースライン時には両群に差はなかったが、フォローアップ時には投与群の方が有意に高かった。一方、アラキドン酸(AA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ジホモ-γ-リノレン酸(DHLA)は、ベースライン時、フォローアップ時ともに両群間に差は認められなかった。そのため、EPA/AA比はベースライン時において投与群が0.6、非投与群が0.5と有意差はなかったが、フォローアップ時はそれぞれ1.2、0.4と、投与群の方が有意に高かった(P<0.01)。

 また、足関節上腕血圧比(ABI)と脈波伝播速度(PWV)はベースライン時、フォローアップ時ともに、両群間に有意な差はなかった。

 IVUSによるプラークの評価結果に関しては、内腔体積、血管体積、プラーク体積はすべてベースライン時、フォローアップ時のいずれも両群に有意な差はなかった。

 一方、ベースライン時からフォローアップ時にかけての変化率を見ると、総プラーク体積(total atheroma volume:TAV)は投与群−24.8%、非投与群−1.5%と、投与群の方が有意に減少していた(P<0.01)。また、血管内腔においてプラークが占める比率であるプラーク体積率(percent atheroma volume:PAV)の変化率についてもそれぞれ−20.5%、4.0%と、投与群で有意な減少が認められ、EPA併用によるプラークの退縮が認められた(P<0.01)。

 CPVの変化率とEPA/AA比の変化率の関連を検討したところ、有意な負の相関が認められ(R=0.53、P<0.05)、EPA/AA比が上昇するほどCPVが減少していることが示された。しかし、LDL-CやHDL-C、TG、HbA1cではCPVの変化率との有意な相関はなかった。

 脇田氏らは以前、糖代謝異常の有無にかかわらず同様の検討を行った際に、EPA併用によるCPVの減少を確認している。この知見と今回の結果を踏まえ同氏は、「ストロングスタチンを投与されている狭心症患者において、EPAは糖代謝異常合併例でよりCPVを減少させることが分かった」と語った。