大阪大学大学院医学系研究科の南口仁氏

 心房細動抗血栓療法において、ダビガトランの基本用量は300mg/日となっているが、添付文書の減量因子に従い、必要に応じて220mg/日に減量する。この減量因子が多いため、ダビガトランの既存用量(300mg/日・220mg/日)の使用が困難となり得る可能性のある症例は、日常診療下で35%であることが示された。3月17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で、大阪大学大学院医学系研究科の南口仁氏らが発表した。

 20歳以上の心房細動症例を対象とした心原性脳塞栓症発症に関する観察研究「STACIN」の登録データのうち、ダビガトランが推奨とされるCHADS2スコア1点以上の516症例(平均年齢71歳)を対象に、ダビガトラン減量因子について検討した。

 ダビガトランの添付文書に記載された減量因子としては、腎機能低下(CCr30〜50mL/分)、P糖蛋白阻害薬併用(ベラパミル・アミオダロン)、70歳以上、消化管出血の既往を有する──などとなっている。

 これらの減量因子のうち、ダビガトラン特有の減量因子として腎機能低下(CCr30〜50mL/分)、P糖蛋白阻害薬併用(ベラパミル・アミオダロン)、70歳以上──の3つについて調べたところ、腎機能低下は26%(141人)、P糖蛋白阻害薬併用は26%(133人、内訳はベラパミルが122人、アミオダロンが11人)、70歳以上は62%(320人)だった。

 減量因子を2つ以上持っている場合、既存用量(300mg/日・220mg/日)の使用が困難になる可能性がある。そこで減量因子を2つ以上持つ患者を調べたところ、2つ持っている患者が28%(144人)、3つ持っている患者は7%(35人)を占め、合計35%の患者は既存用量の使用が困難となる可能性があることが分かった。

 またCHADS2スコアが高くなるほど、減量因子を2つ以上持つ患者の割合は多くなり、CHADS2スコアが3点を超える場合は、4割以上の患者が減量因子2つ以上に該当した。

 これらの結果から南口氏は、「日常診療において、ダビガトランの既存用量が過剰投与となり得る可能性のある症例は稀ではないことが分かった。特にCHADS2スコアが高くダビガトランが使いにくい症例では、ワルファリンの使用が望ましい例も少なくないだろう」と考察した。