小倉記念病院循環器内科の道明武範氏

 冠動脈疾患2次予防例において、LDLコレステロール(LDL-C)を管理目標値である100mg/dL未満にコントロールしても残余リスク(residual risk)が存在する。同目標値を達成している2次予防例へのエイコサペンタエン酸(EPA)製剤の6カ月間の投与により冠動脈硬化の進展が抑制されたことを、小倉記念病院(北九州市小倉北区)循環器内科の道明武範氏らが、3月17日まで横浜で開催されていた第77回日本循環器学会(JCS2013)で発表した。

 EPA製剤はLDL-Cレベルには依存せずに冠動脈イベントの発症を抑制することが、日本国内で実施された無作為化比較試験JELISで示されている。また道明氏らは既に、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行例において、血中のEPAとアラキドン酸(AA)の比を示すEPA/AA比が高値だと、冠動脈イベントの発症リスクが下がることを報告している。そうした背景の下、同病院では、LDL-C管理目標値を達成している2次予防例にEPA製剤を投与し、冠動脈の動脈硬化進展に及ぼす影響を検討する前向き無作為化試験JEACH studyを実施している。

 同試験の対象は、待機的PCIが成功した脂質異常症患者で、LDL-Cが100mg/dL未満にコントロールされている症例。これらの患者を、標準的薬物療法に加えてEPA製剤1800mg/日を併用する群(EPA群)あるいは標準的薬物療法のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けた。本試験の追跡期間は2年間で、定量的冠動脈造影(QCA)を6カ月後と2年後に行う予定になっている。

 今回は、6カ月後のデータを基にした中間解析結果が報告された(EPA群が46例、対照群が41例)。

 患者背景に関しては、年齢や男性比率、脳心血管疾患の既往歴、高血圧や糖尿病の合併率、喫煙率、血圧や血糖値、血清脂質値などに、群間差は認められなかった(LDL-CもEPA群80.7mg/dL、対照群83.2mg/dLで両群に有意差なし)。また、治療薬や併用薬の処方状況にも特に違いは認められなかった(スタチンの処方率はEPA群が93.5%、対照群が95.1%)。

 結果を見ると、血漿EPA/AA比は登録時にEPA群が0.42、対照群が0.40で、両群間に有意差はなかったが、6カ月後にはそれぞれ0.96、0.41となり、EPA群で有意に高かった(P<0.0001)。

 次に、治療部位を除く全セグメントにおいて最小血管径の変化量(ΔMLD)と狭窄率の変化量(Δ%DS)を評価したところ(EPA群では305セグメント、対照群では260セグメントが対象)、6カ月間のΔMLDはEPA群が0.474mm、対照群が−0.060mmで、両群間に有意差が認められた(P<0.001)。Δ%DSは、EPA群が1.275%、対照群が1.390%で、有意ではなかったもののEPA群で低い傾向が認められた(P=0.096)。

 さらに、登録時の%DSが25%以上のセグメントに限定し解析を行ったところ(EPA群では122セグメント、対照群では104セグメントが対象)、ΔMLDはEPA群が0.633mm、対照群が0.571mm、またΔ%DSはEPA群が−0.156%、対照群が0.587%と、いずれもEPA群の方が有意に優れていた(それぞれP<0.001、P=0.026)。

 以上の結果を踏まえ道明氏は、「LDL-Cが管理目標値の100mg/dL未満にコントロールされたPCI施行例においても、EPA製剤は冠動脈硬化の進展を抑制することが示唆された」と語った。